フロリダ州オーランド ―
アバス・バラオウがこれまで積み上げてきたすべてが、土曜日のリング上にあった。
彼が長く追い求めてきた栄光の瞬間を阻んでいたのは、無敗の暫定WBAスーパーウェルター級王者
ヨエニス・テレスだった。両者は事実上の世界タイトル戦とも言える一戦に臨み、それぞれが自らの技術とプレッシャーこそがキャリア最大の試練を制する決め手になると信じていた。
バラオウが土曜日までに乗り越えてきたすべてが、この日彼を頂点へと押し上げた。彼はDAZNで配信されたモースト・ヴァリュアブル・プロモーションズ興行のセミメインイベント、カリブ・ロイヤルにて、
テレスに12回判定勝ちを収め、暫定WBAスーパーウェルター級王座を獲得した。
「本当に信じられない瞬間だ。ずっとこの時を待っていたし、ただ感謝している」と、勝利後にバラオウは語った。
バーデン=ヴュルテンベルク州アーレン(ドイツ)出身のバラオウ(17勝1敗、9KO)は序盤から好スタートを切り、長い時間にわたりテレスをロープ際に押し込み、両手の強打を頭部とボディに打ち込み続け、名高いキューバ人のガードを何度も突破した。サウスポースタイルで試合の大部分を戦ったテレス(10勝1敗、7KO/キューバ・サンティアゴ・デ・クーバ出身)も、バラオウのガードの周囲や隙間を狙って有効打を決める場面を作った。
DAZNの中継によれば、7ラウンド終了時点で、バラオとキューバ・サンティアゴ・デ・クーバ出身のテレスはいずれも106発の有効打を記録していた。
8回と9回に入ると、バラオウのプレッシャーとフィジカルの強さが効果を発揮し始め、テレスは動きが鈍り、消耗戦の激しさによる身体的な影響を見せ始めた。王座が手からこぼれ落ちるのを察したテレスは、10回と11回にギアを上げ、試合を再び振り出しに戻して壮絶な最終第12ラウンドへの舞台を整えた。
最初の11ラウンドと同様に激しい打ち合いが続く中、試合残り1分余りのところでバラオウが強烈なコンビネーションを決め、テレスをロープ際にぐらつかせた。テレスも必死に反撃したが、バラオウはさらにギアを上げ、最後のパンチの連打を繰り出し、テレスをキャンバスに沈めた。レフェリーのクリス・ヤングがカウントを終えた直後に試合終了のゴングが鳴り響くという、ボクシング版ブザービーターとなった。
ジャッジはジェレミー・ヘイズが117-110、ネルソン・バスケスが116-111、エフライン・レブロンが115-112で、いずれもバラオウを支持した。
「俺はいつも感情的なんだ。常にハードワークをしてきたし、自分を信じている。仲間や家族、そして支えてくれる全ての人々に大きな愛を送りたい」とバラオウは語った。
有効打数でもバラオウは214対205と僅差で上回り、この試合の接戦ぶりを物語っていた。
『Fight Freaks Unite』のダン・ラファエルはX上で、テレンス・クロフォードが9月13日にラスベガスのアレジアント・スタジアムでサウル“カネロ”アルバレスと対戦すれば、バラオウが正規王者に昇格すると報じた。さらにバラオウには、元4団体統一スーパーウェルター級王者ジャーメル・チャーロとの対戦が義務付けられる見通しだとも伝えている。
また、10月11日には元IBF・WBA統一ウェルター級王者
ジャロン「ブーツ」エニスとウィスマ・リマがフィラデルフィアのウェルズ・ファーゴ・センターでWBA挑戦者決定戦を行う予定で、勝者が次期挑戦権を得ることになる。いずれにせよ、バラオウは王座戴冠を果たした今、次なる挑戦に完全に意欲を示している。
「俺はこのまま前進する。次の挑戦を追い求めていく。今夜は特別な夜だった。アバス・バラオウが何者であるかを世界中に証明できたんだ。自分に有利な形で結果が出て本当に嬉しい」と語った。