元世界王者同士のヨカスタ・バジェとマーレン・エスパーザによる土曜夜の試合には、王座はかかっていない――だがそれは重要ではない。このハイリスクな一戦の勝者は、2024年『ザ・リング・マガジン』の年間最優秀選手であり、女子フライ級4団体統一王者のガブリエラ・フンドラとの対戦に大きく前進することになるからだ。
元3階級制覇王者のバジェ(32勝3敗、10KO)は、今回2階級上げて、元112ポンド統一王者のエスパーザ(15勝2敗、1KO)と対戦する。試合はメキシコ・カンクンで開催されるウィリアム・セペダ対テビン・ファーマー戦のアンダーカードとして行われ、10回戦で行われる予定だ。
「この試合は本当に特別で重要な一戦だ」
と、木曜日の記者会見でプロモーターのオスカー・デ・ラ・ホーヤは語った。
「彼女たちにできないことなんてない。それが、偉大なチャンピオン同士を戦わせる魅力だ。負ける者なんていない。全力で戦えば、それだけで勝者だ。女子ボクシングにとっても大きな意味を持つ試合だよ。女子ボクシングは今、良い流れで急成長していて、加速を続けている。この試合には本当にワクワクしている。」
デ・ラ・ホーヤ率いるゴールデンボーイ・プロモーションズは、ガブリエラ・フンドラの共同プロモーターでもある。フンドラは4月19日にカリフォルニア州オーシャンサイドで開催される自身の興行で、マリリン・バディージョと対戦予定だ。バジェ対エスパーザの勝者は、おそらくフンドラの次の対戦相手となるだろう。フンドラの急成長中のキャリアには、まだビッグネームとの対戦が欠けているのが現状だ。
「チャンスを与えられたのだから、やらない理由なんてないでしょ?」
とバジェは語った。
「これは、女子が最高の相手と戦いながら輝くためのチャンス。マーレンはこれまでに何でも成し遂げてきた。これは、私の才能を証明する絶好の機会なの。」
35歳のエスパーザは、女子ボクシング界の先駆者の一人でもある。2012年ロンドン五輪で銅メダルを獲得し、2016年にはゴールデンボーイと契約した初の女子選手となり、プロデビューを果たした。
「オスカー(・デ・ラ・ホーヤ)は、特に軽量級で女子ボクシングを本当に表舞台に押し上げてくれたわ」
とエスパーザは語った。
「もし彼がこの階級をしっかり築いてくれていなかったら、今いるような女子選手たちは、ここまで多くは存在していなかったと思う。」
バジェは100ポンド、105ポンド、108ポンドで世界王者となった実績を持ち、女子ボクシング界を牽引してきた存在でもある。2024年3月29日、ちょうどエスパーザ戦と同じ日に、彼女はシニサ・エストラーダとの105ポンド4団体統一戦に挑戦したが敗北を喫し、16連勝がストップした。
エスパーザもまた、2019年にエストラーダと対戦し、敗れている。なお、エストラーダはバジェ戦を最後に現役を引退した。
しかし、エスパーザにとっての課題は“体重”だった。直近2試合ではともにリミットの112ポンドを2ポンドオーバーし、114ポンドで計量を通過している。
4月の試合では、エスパーザはガブリエラ・セレステ・アラニスとの対戦前に体重超過でWBC、WBO、WBAのフライ級王座を失い、その後の試合でもスプリット判定で敗北。12月のアレリ・ムシーニョ戦で勝利し再起を果たしたが、この試合でも再び体重オーバーを犯していた。
体重超過という過去があるにもかかわらず、エスパーザは、バジェが2階級上げてくることについて「そこまで大きなフィジカル面での不利にはならない」と語っている。
「体重を上げたり下げたりするのって、女性にとってはそこまで難しいことじゃないの」
とエスパーザは言う。
「女子の場合、才能が発展していく段階でよく起こることよ。5ポンド、6ポンドくらいなら(手のひらに唾を吐くジェスチャー)――大したことない。正直なところ、彼女は素晴らしいファイターよ。リングに上がれば、どうなるかは自然と分かる。体重の問題が試合に影響するとは、まったく思っていないわ」
Manouk Akopyan は 『ザ・リング・マガジン』のリードライター。X(旧Twitter)およびInstagramでは@ManoukAkopyanから連絡可能。