ロンドン出身
アンソニー・ヤードのトレーナー、トゥンデ・アジャイが、
デイビッド・ベナビデスがヤードとの戦いを軽視していると非難する。
ベナビデス(30勝無敗、24KO)は、11月22日にサウジアラビア・リヤドのANBアリーナで行われる一戦で、WBCライトヘビー級王座の初防衛戦としてヤード(27勝3敗、24KO)と対戦する。
今回の試合は『
ザ・リングIV:ナイト・オブ・チャンピオンズ』のメインイベントを飾るが、オッズメーカーはヤードを大きく不利と見ている。アジャイは、ベナビデスがこの一戦を真剣に受け止めていない可能性があると語る。
「誰かがすでに“次の試合”の話をしている時点で、目の前の戦いを見くびっているってことだと思う」とアジャイは『ザ・リング』誌に語る。「だから、彼が俺たちを軽く見ているなら、そのままでいい。ベナビデスは
(ドミトリー)ビボルとか
(アルトゥール)ベテルビエフの話ばかりしてるけど、“冗談だろ?”って言いたいね。俺たちは遊びに来るんじゃない。戦いに来るんだ。デイビッド・ベナビデスは人生最大の試練に直面することになるだろう。」
元WBCスーパーミドル級2階級制覇王者のベナビデスは、2024年6月にライトヘビー級へ階級を上げ、WBC暫定王座を懸けて
オレクサンドル・グヴォズディクと対戦。判定勝ちを収めると、続く2025年2月にはデビッド・モレルにも判定勝ちしたが、11ラウンドにはダウンを喫する場面もあった。その後、ビボルが王座を返上したことで、4月に正式王者へ昇格した。
一方のヤードは生粋のライトヘビー級戦士で、この階級での経験は豊富だ。これまでに
セルゲイ・コバレフとベテルビエフという175ポンドの名王者たちに挑み、いずれもストップ負けを喫しているが、今回は3度目の世界挑戦となる。
「アンソニーはこの試合でただ“自分らしく”いればいいと思う」とアジャイは語る。「彼がベナビデスに“撃ち合おうぜ”って言ったのをみんな聞いただろう。正直に言うけど、あの子(ベナビデス)はライトヘビー級でまだ2試合しかしていない。1試合目はグヴォズディク戦でスタミナ切れを起こし、2試合目のモレル戦では11戦しかしていない若手にダウンを取られているんだ。事実を言ってるだけさ、プロでまだ11戦の相手にだ。」
「たしかに彼にはアマチュア経験があるけど、彼はベテルビエフでもなければ、2度も『ザ・リング』誌の“ファイター・オブ・ザ・イヤー”に選ばれたコバレフでもない。あのレベルには達していない。でもアンソニーはその2人と戦った経験があり、今もフレッシュそのものだ。ベナビデスの実績も恐れられている理由も理解しているし、スパーリングでの話や“みんなが彼との試合を断った”という発言も耳にしている。でも、俺たちは“みんな”じゃない。」
ロンドンのボクシングシーンで30年近く活動してきたアジャイは、2015年にアンソニー・ヤードがプロデビューして以来、唯一のトレーナーとして彼を指導してきた。ベナビデスを倒して世界タイトルを獲得できれば、アジャイにとっても初の世界王座奪取となる。そんな瞬間を夢見ることはあるのだろうか?
「毎日だよ」とアジャイは答える。「本当に毎日考えている。だからこそ、これは大きな試合なんだ。賭けるものが多い。個人的な立場から言えば、自分の名誉が懸かっていると思っている。だから言えるのは、もしこの挑戦を一緒にやる相手を一人選ぶなら、それは間違いなくアンソニー・ヤードだということだ。」