ニューヨーク —— ボクシングの世界がいかに一夜で変わるかを、ホセ・ラミレスはよく知っている。
昨日までは12対1の大本命、因縁の相手との再戦が視野に入っていたかと思えば、今日は…デビン・ヘイニーとの試合を“調整試合”と見る向きに対し、ラミレスは「土曜の朝になったらまた俺に言ってこい」と釘を刺した。
ザ・リング・マガジンのインタビューでは“リスペクトの欠如”という言葉こそ使わなかったが、穏やかな性格で知られる元WBC/WBO世界スーパーライト級王者は、金曜夜マンハッタンのタイムズスクエアで行われる144ポンド契約・12回戦において“Bサイド”と見なされている状況から、より大きなモチベーションを得ているのは明らかだった。
ドラフトキングス社が公表した一方的なオッズについて問われると、ラミレスはボクシングの勝敗予想が他のスポーツとは異なると指摘した。
「ボクシングの結果を予測するのは簡単じゃない」とラミレスはザ・リング・マガジンに語った。「NFLやNBA、サッカーとは違う。ボクシングはたった一発で流れが変わるんだ。まあ、俺はそんな数字は気にしていないけどな。でも、もし本当に12対1なんだったら、みんな俺に100ドルくらい賭けてくれよ。」
32歳のラミレスは、ヘイニーとガルシアの陣営が描く青写真をぶち壊すことに意欲を燃やしている。ヘイニー(31勝無敗、15KO、1無効試合)がラミレス(29勝2敗、18KO)を破り、ガルシアがメインイベントでロランド“ローリー”ロメロに勝てば、10月に再戦する契約がすでに交わされている。
カリフォルニア州ビクタービル出身のガルシア(24勝1敗、20KO、1無効試合)も、ドラフトキングスのオッズではロメロ(16勝2敗、13KO)に対して9対1の本命となっている。試合はWBA世界ウェルター級王座を懸けた12回戦。
ヘイニーもガルシアも、最後の試合は4月20日にブルックリンのバークレイズ・センターで行われた直接対決。その試合でガルシアは3度のダウンを奪い、12回戦をマジョリティ判定で制している。
しかし、その後ガルシアはドーピング検査でオスタリンという禁止薬物に陽性反応を示し、ニューヨーク州コミッションから1年間の出場停止と120万ドルの罰金を科された。この結果、試合の記録も無効試合へと変更された。
一方のラミレスは、昨年11月16日にサウジアラビア・リヤドのANBアリーナで行われたアーノルド・バルボサJr.との10回戦で、3-0の判定負けを喫している。その勝利によりバルボサは、金曜夜のイベントで、ザ・リングとWBOのスーパーライト級王者テオフィモ・ロペスへの挑戦権を得た。
ラスベガス出身のロペス(21勝1敗、13KO)と、カリフォルニア州エルモンテのバルボサ(32勝無敗、11KO)による一戦は、DAZNペイ・パー・ビュー(59.99ドル)がアメリカで中継する5試合のうち第2試合として放送される予定だ。ザ・リング主催の『FATAL FURY: City of the Wolves』のPPV配信は、東部時間午後5時30分にタイムズスクエアからスタートする。
2012年ロンドン五輪の米国代表だったラミレスにとっては、再びキャリアを再浮上させる絶好のチャンスだ。しかし、このユニークなイベントの2か月にわたるプロモーション期間を通して、アンダードッグたちが注目されることは少なかったと感じている。
「俺は誰がどうプロモートするかなんて気にしない」とラミレスは語った。「記者会見で司会がどう流れを誘導するかとか、そんなのは関係ない。…そういうのは偏ってるしな。ボクシングみたいな競技では、男ってのは感情的になりやすいんだ。」
「司会者たちはヘイニーとライアン・ガルシアの再戦ばかり盛り上げようとして、この試合がどれだけ重要かを語るのを忘れてる。俺の話もしない、ローリーの話もしない、バルボサの話もしない。でもそれが人生ってもんさ。怒ることじゃない。」
Keith Idec はザ・リング・マガジンの上級ライター兼コラムニスト。Xでは @idecboxing をフォロー。