イングランド・ロンドン —
ファビオ・ワードリーが、またしても衝撃的な強奪勝利を収めて、ヘビー級世界統一王座への挑戦権を手に入れる。
4か月前、ポートマン・ロードで
ジャスティス・フニに
逆転勝ちしたワードリーは、今回もロンドンのO2アリーナで元ヘビー級王者
ジョセフ・パーカーを相手に、敗北寸前のところから再び盛り返す。
だが、ボクシング界で最も勢いのある実力者のひとりを前にしても一歩も引かずに立ち続けた末、パーカーを最終ラウンドひとつ前の第11ラウンドでストップしたワードリーが、ここ数年の英国リングでもっとも劇的なヘビー級勝利のひとつを手にする。
さらに言えば、彼はいまや“絶対王者”
オレクサンドル・ウシクへの挑戦権争いの最前列に立っている。ウシクは、この「ザ・リング」誌ランキング2位のパーカー対6位のワードリーの一戦のプロモーション期間中に、来年復帰戦で勝者と対戦することを正式に明かしていた。
ストップ勝ちを収めた直後、ワードリーはこう叫んだ――「言いたいことはひとつだけだ。ウーーシク!」
「俺たちはジョセフ・パーカーを選んだんだ。自分が頂点にいると信じてるし、それを証明した。経験の少なさは、純粋な闘志とハートと意志で埋めるんだ。」
パーカーは世界でも屈指の人気を誇るヘビー級だが、イプスウィッチ出身のワードリーの地元から電車でわずか1時間の距離ということもあり、会場の明らかにワードリー寄りの観客からは入場時にブーイングも飛んだ。
第1ラウンドのゴングが鳴ると同時に、会場中にワードリーの名前が響き渡る。彼はお馴染みの右ストレートを何度も狙い、対するパーカーは左フックを二度、三度と重ねて応戦した。
オープニングラウンドの終盤、ワードリーの鼻筋――これまでたびたび問題となってきた箇所――が損傷し、血を流し始める。パーカーは強烈な連打でラウンドを締めくくり、無敗の相手を追い詰めたところでゴングが救いとなった。
第2ラウンドもパーカーが前進し主導権を握る展開で始まったが、流れが一変したのはワードリーの右が炸裂した瞬間だった。明らかにダメージを受けたパーカーは後退し、時間を稼ごうとするが、ワードリーは攻勢を緩めない。
イプスウィッチの男があと一発で勝負を決めそうに見えたが、パーカーは持ちこたえ、マウスピースが外れたことで主審ハワード・フォスターから貴重な回復の時間を得た。再開後もワードリーが襲いかかるが、今度はラウンド終了の鐘がパーカーを救った。
第3ラウンドに入ると試合はやや落ち着いたが、一瞬たりとも目を離せない展開は続く。どちらのパンチでも試合を終わらせられるような緊張感が漂っていた。
第4ラウンド、パーカーは完全に立て直し、再び左フックを当て始める。ワードリーをロープへ押し込み、さらに2発の左を叩き込む。しかし、窮地に強いことで知られるワードリーは、右ストレートを打ち返して応戦した。
260ポンド超の巨体となったパーカーは、ややスタミナ切れの兆候を見せ、第5ラウンドでは手数が減少。それでも依然として危険な存在だった。一方のワードリーは右を狙い続けたが、第6ラウンドもパーカーが優勢に終わり、完全に試合を掌握していた。
過去3戦でデオンテイ・ワイルダー、チャン・チリエイ、マルティン・バコレといった強打者を封じてきたパーカーは、第2ラウンドをしのいだ後、ワードリーの攻略法を見つけたように見えた。第7ラウンドには自身の右もヒットさせたが、ワードリーのあごはそのすべてを受け止めていた。
序盤の激しさから一転、第8ラウンドはペースが落ち、両者ともに疲労の色を見せ始める。静かなラウンドを制したのはパーカーで、判定上でも大きくリードを広げたように見えた。さらに、三連続の左フックでワードリーの足元を揺らした。
しかし、静けさのあとに再び嵐が訪れる。第10ラウンド、パーカーはワードリーをキャリア初黒星の淵まで追い込むが、彼はまたも持ちこたえる。それどころか、後退しながら右アッパーを打ち込み、ラウンド終盤には逆転KOを予感させる反撃を見せた。
そして第11ラウンド、無敗の30歳はもう止まらなかった。再び前進し、得意の右でパーカーをぐらつかせると、一気に畳みかけロープ際へ追い詰める。フォスター主審がストップに入った瞬間、すぐそばで見ていたパーカーのトレーナー、アンディ・リーは頭を抱えた。試合終了は第11ラウンド1分54秒だった。
6連勝中だったパーカーの快進撃はここで止まり、ワードリーの世界王座への勢いはさらに加速する。
「これはボクシング史上見たことのない物語だ」とプロモーターのフランク・ウォーレンは語った。
「単純な話だ。オレクサンドルは偉大なチャンピオンだ。彼は戦いたいと言っていて、王座を手放すつもりはない。次の試合――ファビオ・ワードリーとの一戦――は、4団体統一戦になる。
それこそ、彼が手にするにふさわしい舞台なんだ。」