ヴィダル・ライリーは、自身が英国クルーザー級王者となるためには、シェイヴォン・クラークを“叩きのめして屈服させる”必要があると考えている。
ライリー(12勝0敗、7KO)は、4月26日に行われる注目のミドル級因縁対決――クリス・ユーバンク・ジュニア対コナー・ベン――のアンダーカードで、クラーク(10勝1敗、7KO)を相手に伝統のロンズデール・ベルトに挑戦する。このイベントはロンドンのトッテナム・ホットスパー・スタジアムから、DAZNを通じて世界中に配信される予定だ。
ジュニア時代に複数回の全国王者となったライリーは、プロ入り後も順調にキャリアを積み上げてきた。
現在27歳のライリーは、イングランド王者にたどり着くまでほとんど汗もかかずに勝ち進んできた。しかし今回、クラークとの対戦契約にサインしたことで、まったく別種の試練を受け入れることとなった。ライリー自身も、2016年五輪出場という実績を持つ爆発力あるクラークとの対戦を前に、「自分の快適な領域から引きずり出された」と認めている。
「シェヴはクールなやつだよ。でもこのチャンス、この試合は絶対いい試合になる」と、ヴィダル・ライリーは興奮気味に Sky Sports のポッドキャスト「Toe 2 Toe」で語った。「いい試合になるさ。
これは、なんというか、ソープパーク(※イギリスの有名なテーマパーク)に行くような感じなんだよ。スリルを求める気持ちってあるじゃん?『このアトラクションに乗ってみよう』って思うみたいに、俺はこの試合に対してそう感じてるんだ。
挑戦的な試合だ。誰もが『ライリーが楽に勝つだろう』と思うような試合じゃない。俺がただリングに上がって彼を叩きのめす、って展開にはならない。でも、どんな課題があろうと乗り越える自信はあるよ。」
1年前なら、シェイヴォン・クラークとの対戦は才能豊かとはいえ試されていないライリーにとって「時期尚早」と見られていたかもしれない。しかし少なくとも世間の見方においては、両者の実力差はかなり縮まったようだ。
クラークは昨年、快進撃でスタートを切った。1月にはトミー・マッカーシーを圧倒し、その後エリス・ゾロを崩して英国王座を獲得。
しかし、34歳の彼にとって事態は突然厳しさを増した。8月にはエフェトボー・アポチとの試合でダメージを受けながらも判定勝ち。そしてその後、空位のヨーロッパ王座を懸けたレオナルド・モスケーラ戦ではダウンを喫し、スプリット判定で敗れてしまった。
一方のライリーは、昨年3月にミカエル・ラワルを下してイングランド王者となったものの、その後のケガで勢いを失った。しかし、ジムでの調整は続けており、クラークが近年経験した苦戦から多くの収穫を得ている。アポチ、そして特にモスケーラは危険なファイターだが、正しいアプローチと戦術をもってすれば、クラークにも勝機はあると証明してみせた。
ライリーは優れたテクニシャンであり、試合を計算しながら勝ちに導く能力に長けている。彼はクラークとモスケーラの試合を研究し、困難ではあるが突破可能な勝利へのルートを見出している。
「それ(モスケーラ戦の敗北)が起きたという事実は無視できない。完全に切り捨てることはできないよ。なぜなら、あの試合で見せた面は、以前の試合でも見られたものだから」とライリーは語った。
「たしかに、たまたま調子が悪かっただけってこともある。でも、それが何度も繰り返されるようになれば、そこには一定のパターンが生まれていると見て、いくつかの点をつなげて考えるのが賢明だと思う。
とはいえ、前回の試合からの改善はあると予想しているよ。彼は厳しい試合を経験した。第1ラウンドの危機を乗り越えて、最後までしっかりとボクシングをして、接戦の末に敗れたんだからね。」
「シェヴ(クラーク)は、スキルがあることを示してきた。状況に応じて修正できるし、スタミナもある。何より、苦しい展開になっても崩れないメンタリティを持っている。だからこそ、彼との試合は常にタフなものになる。彼は簡単に諦めるような相手じゃない。屈服させるまで叩きのめさなければならない――それが、厳しい試合になる理由なんだ。」