ワシリー・ロマチェンコは、37歳での引退を表明した。彼は輝かしいプロキャリアを誇り、3階級制覇を成し遂げた。
アマチュア時代、ウクライナ出身のロマチェンコは396勝1敗という驚異的な戦績を残し、北京2008、ロンドン2012の2度のオリンピック金メダルを獲得。その後、プロの世界でパウンド・フォー・パウンドのスターとなった。
ロマチェンコの最後の試合は、2024年5月にオーストラリア・パースのRACアリーナで行われた
ジョージ・カンボソス・ジュニア戦だった。
「ロマ」は11ラウンドTKO勝ちを収め、これによりIBFライト級王座を獲得した。なお、135ポンドの“暫定”王者レイモンド・ムラタラは先月、
ザウル・アブドラエフに判定勝ちして正式王者へ昇格する。
ロマチェンコは
自身のソーシャルメディアに投稿した動画メッセージでこう語った。
「リングの内外での勝利も敗北もすべてに感謝している。キャリアの終わりにあたり、本当の勝利を掴むためにはリングの中だけでなく、人生においても正しい方向性を見極めることが大切だと気づけたことに感謝している。」
「正直で素晴らしく、優しい両親には心から感謝している。彼らの愛情と温もりに、これまでの人生ずっと支えられてきた。父はボクシングだけでなく、子どもたちの手本となる生き方も教えてくれた。」
「人生でもジムでも多くの失敗をしてきたが、父はいつもそばにいて、必要なときには正してくれた。温かい思い出がたくさんある。」
「家族へ、いつも支えてくれてありがとう。勝利の喜びも、敗北の苦しみも共に分かち合った。その敗北が俺たちをより強くしてくれた。」
ロマチェンコは2013年にプロデビューし、2戦目でオルランド・サリドと世界タイトルをかけて対戦したが、物議を醸すスプリット判定で敗れた。
しかし、3戦目で彼は世界王座を獲得。ゲーリー・ラッセル・ジュニアを判定で下し、空位のWBOフェザー級タイトルを手に入れた。この勝利は、タイのセンサック・ムアンサリンが持つ「プロキャリアで最少試合数で世界王座獲得」という記録に並ぶ快挙だった。
7戦目でロマチェンコはロマン・マルチネスを5回KOで下し、WBOスーパーフェザー級タイトルを獲得して2階級制覇を達成した。
その後、130ポンド級ではニコラス・ウォルターズ、ミゲル・マリアガ、そして同じくアマチュアで活躍した天才ギレルモ・リゴンドーを破った。
ロマチェンコは2018年5月、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでライト級デビューを飾り、ホルヘ・リナレスを10回TKOで下して「ザ・リング」誌タイトルとWBA王座を獲得した。試合序盤には自身もダウンを喫していた。
ロマチェンコは次戦でホセ・ペドラサをユナニマス判定で下し、WBO135ポンド王座を統一した。その後、イギリスのアンソニー・クロラとルーク・キャンベルを破った。ルーク・キャンベル戦はロンドンのO2アリーナで行われ、WBC王座も懸けられていた。
しかし次戦でロマチェンコはキャリア2敗目を喫した。テオフィモ・ロペスに116-112、117-111、119-109のユナニマス判定で敗れたのだ。
その後はリチャード・コーミーやジャメイン・オルティスにノンタイトル戦で勝利したが、2023年5月にMGMグランドで行われた米国のデヴィン・ハネイとのライト級4団体統一王座戦では、僅差の攻防の末に敗れた。
最後の試合は、その1年後にオーストラリアのジョージ・カンボソス・ジュニアとの対戦となった。
2024年11月には、長年ファンが熱望していたボクシングスター、ジャーボンテイ・デービスとの対決が期待されていたが、ロマチェンコはボクシングからの休養を選択した。
しかし、その休養が結果的に伝説的ファイターのキャリアの終焉をもたらすこととなった。