ジョエル・コドゥアは、プロ3年目にしてビッグマッチのアンダーカードやスタジアム大会に出場してきた。
そんな彼が先週土曜、ニールソン・ボクシングとTM4プロモーションズが主催するヨーク・ホール大会でメインを務め、talkSPORTでライブ配信された試合で無敗の王者ダニエル・フランシス(10勝1敗、2KO)を10ラウンドTKOで下し、キャリア最高のパフォーマンスを見せた。
この勝利は、初回から右手を負傷しながら痛みをこらえて戦い抜き、最後は連打の左フックでフランシスを圧倒して仕留めた点でも価値がある。
「自分の実力はわかっている。2018年にボクシングを始めて、それまでは夜勤で線路の修理や石を運ぶ仕事をしていた。ダニエルはいい選手だけど、50対50の試合じゃなかった。多くの人が気づいたと思う、自分にはスタミナがあるし、世界レベルだと」と彼は試合後に語った。
28歳のコドゥアは、プロ転向と同時に鉄道の仕事を辞め、今回がプロとして初の2タイトル獲得となった。
トレーナーのトゥンデ・アジャイは自身のポッドキャストで、別の候補選手のケガがなければ試合自体が成立していなかった可能性を明かした。
「自分は慎重派で、選手にはきちんと成長の時間を与える。フランシスに勝った選手と戦うつもりだったが、その選手がケガをしていたらしい。昔の友人であるマーティン・バウワーズと戦いたくなかったし、ジョンが何度もダニエル戦を提案してきたときも、自分は乗り気じゃなかった。でもジョエルに聞いたら『やろう』と。すべてがアウェイの状況だったが、ジョエルは実力を示してくれた。彼の成長を見られるのは嬉しい」と語った。
3月22日には、ルートン出身のオリバー・ダフィー(7勝1敗、1KO)がサザンエリア王座決定戦で96-95の僅差判定で敗れている。
コドゥア(9勝無敗、2KO)は控えめな性格で、リングで全てを語るタイプ。2度の世界挑戦経験を持つアンソニー・ヤード(27勝3敗、24KO)に指導を受けており、かつてクイーンズベリーとの契約話もあった。しかしタフなジャーニーマンとの凡戦が続き、印象を残せなかった。
ここ2戦はベン・シャローム率いるBOXXERの興行で試合をこなしたが、ヤードが今年フランク・ウォーレン陣営に復帰したことで、コドゥアとの契約継続には至らなかった。
現在のプロボクシング界では、7戦無敗でもKOなし、見せ場のない選手はテレビ放送にも乗れず、チャンスも回ってこないのが現実だ。
そんな中、アジャイとヤードの支援を受け、プロモーターのジョン・トレザウェイがアジャイを説得してこの試合を実現させた。その賭けは見事に成功した。
「彼は常にジムにいて練習している。周囲の人間に慢心させないのが自分の方針。努力と苦労が結果を生むし、それを続ける限り彼の未来は楽しみだ」とアジャイは語る。
今回、コドゥアはサザンエリアとコモンウェルス・シルバーの2冠を獲得し、さらにイングランド王座挑戦者決定戦にも勝利した。これは、クイーンズベリー所属のショーン・ノークス(10勝無敗、5KO)が返上した王座を巡る流れの一部だ。
10月25日にはトラヴィス・ウォーターズ対トーマス・ヒルの別の挑戦者決定戦が予定されており、ロバート・ダルトン対ダフィーの試合も日程調整中。これにより、英国ウェルター級のトップを決める6人制トーナメントのような展開も期待される。
年初には無冠でKO勝ちもなかったコドゥアだが、今では連続KO勝利と注目度アップで状況が一変した。
すでにジムに戻り、シャドーボクシングで技術を磨き続けている彼にとって、今は結果に浸っている時間ではない。人生と同じように、祝福は一瞬、次の課題に向けて動き出すだけだ。