チャンテル・キャメロンにとって、今週金曜にニューヨークで初対戦となる
ジェシカ・カマラだが、このカナダ人挑戦者は以前から暫定WBC女子スーパーライト級王者の視界に入っていた。
「この試合はいずれ実現するとずっと思っていた」とキャメロンは語る。「彼女の名前はこれまでにも何度か挙がっていて、そのたびに私は“やろう”と言ってきた。今回ようやく話がまとまり、契約も済んで、いよいよ実現目前よ。」
2021年10月、
チャンテル・キャメロンがメアリー・マギーを破ってWBC王座にIBF王座を加えた際、翌月に行われるジェシカ・カマラ対カリ・リースの勝者と統一戦を行うのではないかという期待が高まった。キャメロンは自らの役目を果たし、リースもカマラに勝利したが、その統一戦は実現しなかった。
とはいえ、キャメロンのキャリアが停滞することはなかった。ビクトリア・ブストスを下した後、2022年11月にジェシカ・マッカスキルに勝利し、スーパーライト級の4団体統一王者となった。さらにその半年後には、
ケイティ・テイラーにプロ初黒星を与える快挙を成し遂げている。テイラーは今週、
アマンダ・セラノとのメインイベントでマディソン・スクエア・ガーデンのリングに立つ予定だが、リマッチではキャメロンに勝利し雪辱を果たした。それでもキャメロンはその後、エルヘム・メカレドとパトリシア・バーグルトに勝利し、同階級のトップの座を守り続けている。
とはいえ、キャメロンがカマラ戦に向けて準備を進める中で、その“トップの座”にも疑問符がつきつつある。仮に今回の試合でプロ21勝目を挙げたとして、次にどこへ向かうのかが大きな焦点だ。
自然な流れとしては、金曜のメインイベントの結果にかかわらず、ケイティ・テイラーとの決着戦(第3戦)が挙げられる。しかし、多くの関係者が「テイラー対セラノ第3戦」がアイルランド出身のテイラーにとってラストファイトになると予想しており、その可能性は遠のいているようにも見える。
一方で、キャメロンがウェルター級へ階級を上げれば、
ローレン・プライス、
ミカエラ・メイヤー、ナターシャ・ジョナス、サンディ・ライアンといった実力者との注目マッチが期待できる。また、135ポンド級のキャロライン・デュボアやテリー・ハーパーが階級を上げてくれば、新たなビッグファイトの可能性も広がる。
結局のところ、キャメロンが今考えるべきなのは指名試合や調整試合ではない。彼女にとって重要なのは、早朝のロードワークに駆り立てられるような試合、トップに居続けるために必要な犠牲を払う動機となるような試合だ。だからこそ、MVPが次々と大物選手と契約を結び始めたとき、キャメロンは迷わず参加を決めた。
「ビッグファイトのためだった」と彼女は語る。「エリートの女子選手たちがMVPと契約していて、私もそこに加われば、また大きな試合に戻りやすくなると感じた。参加するか、取り残されるかのどちらかだった。だから私は彼らと一緒に行くと決めたの。」
そして「ビッグファイト」という意味では、今週金曜に行われる歴史的な女性限定興行以上の舞台はないだろう。キャメロンにとっては、2021年にラスベガスでメリッサ・ヘルナンデスをストップして以来となるアメリカでの試合でもあり、“イル・カーポ(ボス)”はニューヨークの大舞台を心待ちにしている。
「本当にワクワクしてるわ」とキャメロンは語る。「ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで試合をするなんて、すべてのボクサーにとって夢の舞台。こんな機会はめったにないし、私にとってまさに夢の実現よ。最高の気分よ。」
ビッグファイト、大舞台――そうした興奮は、時に目の前の試合から気を逸らせてしまうこともある。だが、キャメロンにその心配はない。
「私はいつだって気を抜かない」とキャメロンは言う。「相手が誰であろうと、常に万全の準備をする。だって、私は失うものが多いから。この試合に勝てば、次は世界タイトル戦が待っている。だから、相手がどんな選手かとか、誰に勝ってきたかとか、正直そんなことは気にしていない。私のような相手と戦ったことはないと思うし、そこが違いよ。私は他の選手とは違うし、彼女は私のようなボクサーと戦ったことがない。私は自分が何をするかに集中しているし、このチャンスを無駄にするには失うものがあまりに大きすぎるの。」
それはまさに王者の言葉。そしてキャメロンにとって、それ以外の生き方や話し方は馴染みがない。だからこそ、今後の可能性についていくら話があっても、彼女の関心は常に“目の前の相手”にある。
「シンプルに考えてるわ」と彼女は語る。「ビッグファイトのチャンスはたくさんあるけど、まずはジェシカを乗り越えなきゃ。私はこれまで相手を甘く見たことは一度もない。だから今はこの試合に集中しているの。だけど、大きな試合は確かに控えてるし、それらをつかみ取るには、まずこの試合に勝たなきゃいけないのよ。」