2階級制覇を達成し、無差別級アトム級王者として君臨していた
ティナ・ルプライトが、華やかな12年間のプロキャリアに幕を下ろすことを正式に発表した。
33歳のアウクスブルク出身であるルプライトは、先週土曜日にミュンヘンで行われたバイエルン・スポーツアワードの授賞式において「年間最優秀ボクサー賞」を受賞し、その壇上で感動的な引退宣言を行った。
ルプライト(15勝1敗1分、3KO)は受賞スピーチの中で、夫マルクス・フリッチとともに第1子の誕生を2025年3月に控えていることを明かし、「今がまさに完璧なタイミングだと思う。ずっと目指してきた場所にたどり着き、むしろそれ以上の高みに到達した気がする。だから、もう十分」と語った。
ルプライトは2024年1月、ファビアナ・ビティキを判定で下してWBC世界タイトルを2階級目で獲得。その後、WBO/WBA王者の
松田恵里、IBF王者の
山中菫に連勝し、102ポンド級の王座を統一した。
11月の松田戦では初回のダウンを奪い、判定勝ちで『ザ・リング』誌認定王座も初めて獲得。翌4月には8戦無敗の挑戦者・山中を10回戦のマジョリティ・デシジョンで退けて防衛に成功した。
この偉業により、彼女は男子・女子を通じて「4団体時代」における初のドイツ人完全統一王者となった。
唯一の黒星は、2023年3月に行われたWBC/WBA女子ミニマム級王座統一戦での
セニエサ・エストラーダ戦である。エストラーダは完封判定勝ちを収め、無敗のまま引退を表明した現代の名王者である。
それ以前にルプライトは5度のタイトル防衛を重ねており、この敗戦をきっかけに階級を下げて再挑戦に踏み切った。
“タイニー・ティナ”の愛称で親しまれた彼女の戦績は、時を経てもなお輝きを増している。2018年後半には、現WBC女子ミニマム級王者
ヨカスタ・バジェ(33勝3敗、10KO)や当時無敗だったニオルキス・カレーニョに勝利している。
今回の引退を受け、WBCは17歳の
カミラ・サモラノを暫定王者から正規王者へと昇格させたが、ルプライト自身はその決定に満足しているようだ。
「これからはリング上で戦うことはないけれど、ボクシングへの愛と情熱は永遠に変わらない。自分の経験を、講演会やワークショップ、さまざまなプロジェクトを通して次の世代に伝えていきたい」と彼女は語った。