過去数か月間、TJ・ドヘニーが自分自身の物語の背景人物のように感じていたとしても無理はない。
アイルランド出身の彼は、WBAフェザー級王者であるニック・ボール(21勝0敗1分、12KO)に挑戦するためにリバプールにいる。しかし、試合前の話題の中心は、ドヘニーが番狂わせを起こす可能性ではなく、昨年9月にスーパーバンタム級の4団体統一王者である井上尚弥に7回TKO負けを喫したこと、そしてボールがそれ以上に圧倒的な勝利を収めて将来的な井上戦への足がかりを築くことができるかどうかである。
だが、ドヘニー(26勝5敗、20KO)は、ボールが井上戦のためにアピールする場のエキストラとして来たわけではない。元IBFスーパーバンタム級王者である彼は、ボールのタイトルを奪い、自ら再び大きなチャンスを掴むことを狙っている。この試合はイギリスではTNTスポーツによって放送される。
キャリアの大部分をスーパーバンタム級で戦ってきたドヘニーは、フェザー級への階級上げが新たな活力をもたらすと考えている。
金曜午後の計量では、38歳の彼にとって4ポンドの増量が非常に良い結果をもたらしたように見えた。
ドヘニーは、最初の計量で126ポンドのリミットをわずか1オンス超過したものの、2回目の計量で無事にクリアした。
ボールの頑丈なスタイルと容赦ないワークレート(手数の多さ)は疑いようのない強みである。しかし、ドヘニーは、試合開始のゴングが鳴れば自分こそがより強い選手であると確信している。
「俺の方が背が高い。彼は小柄でがっしりしているが、自分の体格に合った戦い方ができる。そこは上手いと思う。プレッシャーファイターとしては良い選手だ」と彼はクイーンズベリー・プロモーションズに語った。
「俺は階級を上げてきたが、それでもこの階級では自分の方が大きくて強い。
「本来ならもっと早くフェザー級に上げていた方がよかったのかもしれないが、122ポンド(スーパーバンタム級)で大きなチャンスが来ていたから、減量してそこに合わせる必要があったんだ」と付け加えた。
ボールの好調ぶりは、彼のプロモーターであるフランク・ウォーレンが、彼とIBFヘビー級王者ダニエル・デュボアを「イギリスの現役最高のボクサー」と評するほどである。
井上だけでなく、ドヘニーはマイケル・コンランやダニエル・ローマンといったトップレベルの選手たちとも拳を交えてきた。その経験から、彼は過度な評価や期待に流されることはない。
ドヘニーはボールの実力と実績を認めつつも、彼が「イギリス最高のボクサー」と評されるのは時期尚早だと考えている。
「まだ若い選手にそんな大きなプレッシャーをかけるのはどうかと思う」とドヘニーは語る。
「イギリスにはトップクラスのボクサーがひしめいている。確かに今、一番ホットな名前の一人ではあるだろう。しかし、能力、技術、パワー、総合的なボクサーとして見た時、それを言うのは少し早いんじゃないか。彼が今のスタイルで最も優れた選手かもしれないが、ボクシング全体として考えると、この国にはまだまだトップクラスの選手が多くいる」