バフラム・ムルタザリエフによるティム・チューの圧倒的な勝利は、元WBO世界スーパーウェルター級王者であるチューの闘志を打ち砕くには至らなかった。
バフラム・ムルタザリエフによるティム・チューの圧倒的な勝利は、元WBO世界スーパーウェルター級王者であるチューの闘志を打ち砕くには至らなかった。オーストラリア出身のチューは、再戦の機会が与えられればムルタザリエフに勝てると今も信じている。ただし、その再戦が実現したとしても、IBF世界タイトル戦において全ての王者および挑戦者に義務づけられている再水和制限には、今後は同意しないと語っている。
WBA、WBC、WBOのいずれも、試合の前日または当日に体重を計量後、選手が何キロまで体重を増やしてよいかについての上限を設けていない。しかしIBFだけは、選手が所属する階級のリミットよりも10ポンド(約4.5kg)以上体重を増やすことを、タイトルマッチ当日の朝に行われる再計量において禁止している。
ただし、IBFの再計量(試合当日の朝に行われる)をクリアした後、試合開始までの間に王者や挑戦者がどれだけ体重を増やしても制限は存在しない。また、この10ポンド(約4.5kg)の再水和制限は、IBF王座と他団体の王座が懸けられる統一戦の場合には適用されない。
チュー(24勝2敗、17KO)は、今週日曜の午後にオーストラリア・ニューカッスルの「ニューカッスル・エンターテインメント・センター」でジョーイ・スペンサーと対戦予定である。彼は、昨年10月19日の試合当日の朝、フロリダ州アスレチック・コミッションのスケールで何キロだったかは明かしていないものの、今週行われたZoomインタビューにて「ムルタザリエフ戦では、いつもより体重が増やせなかったことが不利に働いた」と述べた。
「もちろん、再戦は絶対にやりたいと思っている」とチューは語った。「でも、ひとつだけやりたくないのはIBFの再水和条項だ。あれには慣れていなかった。普段の試合では、もっと体重がある状態でリングに上がっていた。だから、あれも自分に影響を与えた要素の一つだったと思う。あと、最初のパンチをもらったときに回復できなかったのもずっと頭の中に残っていた。」
チューは10月18日の公式計量で153.5ポンド(約69.6kg)であり、ムルタザリエフの152.75ポンド(約69.3kg)よりやや重かった。ムルタザリエフの身長は約6フィート(約183cm)で、チューより約3インチ(約7.6cm)高い。
試合開始時の両者の実際の体重は不明だが、明らかだったのは、チューがムルタザリエフの強打に耐えられず、その猛攻から回復できなかったという点である。
ムルタザリエフは第2ラウンド開始38秒、左フックでチューを尻もちをつかせる形で最初のダウンを奪った。
混乱したチューはクリンチすることもできず、ムルタザリエフの攻撃を遠ざけることもできなかった。第2ラウンド中にさらに2度倒れ、第3ラウンドでも再びダウンした。
レフェリーのクリストファー・ヤングは、チューが4度目のダウンを喫した時点で、12ラウンド制のタイトル戦を止めた。
30歳のチューは、パンチ力がムルタザリエフほどではないスペンサー(19勝1敗、11KO)との対戦を迎える。ブックメーカー「ドラフトキングス」はチューを8対1の有利と見ており、スペンサーはミシガンを拠点とするボクサーである。両者の10ラウンド制スーパーウェルター級試合は、アメリカ時間土曜夜(東部時間午後10時/太平洋時間午後7時)にAmazonプライム・ビデオで配信される4試合構成の興行のメインイベントとなる。
「まあ、今回はもう少し楽な試合になると期待している」とチューは語った。「でも、自分のスタイルやメンタリティを考えると、試合当日や今後に何が起こるかは誰にも分からない。」
Keith Idecは『ザ・リング』のシニアライターおよびコラムニストである。X(旧Twitter)@idecboxingで連絡可能。