ティム・ブラッドリーは、どんなファイターにもチャンスはあると考えるタイプだ。見た目の数字が悪くても、少なくとも“可能性”は認める。しかし、ライアン・ガルシアと対戦するロランド“ロリー”・ロメロのケースに関しては、ブラッドリーですら初めて「勝ち目はゼロ」と感じたという。
「もしロリーが番狂わせを起こしたら、そりゃもう地獄みたいに衝撃的だろうけど、俺はロリーはもう“壊れた商品”だと思ってる」とブラッドリーは最近のFightHub TVのインタビューで語った。「ここ数戦を見ても、あいつはもう以前のロリーじゃない」。
ロメロがかつてのように、相手を蹴散らすような無鉄砲なファイターに見えなくなってから、しばらくが経つ。直近の試合ではマヌエル・ハイメスに勝利したものの、相手を追い詰めて仕留めるような展開にはまったくならなかった。ブラッドリーの見立てでは、ロメロがライアン・ガルシアと向かい合うときには、以前のような姿に戻る必要がある。しかし、その“昔のロリー”はもう戻ってこないかもしれない。
ブラッドリーはロメロを特別高く評価していたわけではないが、そのパンチ力と恐れずに打ち合いに挑む姿勢には敬意を持っていた。だが、何かが変わってしまった。
2022年、ロメロ(16勝2敗、13KO)はトークで話題を呼び、ジャーボンティ・デービスとの一戦を引き寄せた。自信満々に語り、その言葉どおり、序盤のラウンドでは堂々とした戦いぶりを見せた。だがデービスは、いつも通りたった一発で勝負を終わらせた。紙の上では“たった一敗”かもしれないが、ブラッドリーに言わせれば、それは単なる一敗ではなかった。
「ジャーボンティ・デービスにノックアウトされてから、彼はまったくの別人になった。完全に変わってしまった。時には、たった一試合でキャリア全体が壊れることもある。彼はメンタルもフィジカルも、以前とはまったく違うんだ」。