ティアラ・ブラウンは、今週土曜夜にオーストラリア・シドニーで対戦するスカイ・ニコルソンが、自分のスピードやペースについてこれる“ギア(段階)”を持っているのか疑問視している。
フロリダ出身のブラウン(18勝無敗11KO)は、WBCフェザー級王者スカイ・ニコルソン(12勝無敗1KO)への挑戦のために、世界中を渡り歩いてきた。
試合前の和やかだがピリついたムードの中で、ブラウンはニコルソンについて「スプーンで与えられたように世界タイトルを手に入れた」と辛辣に語り、さらに彼女を「逃げ回る選手」「キーボード・ウォリアー(口だけの戦士)」と揶揄している。
ブラウンは、昨年10月にサウジアラビアで行われたスカイ・ニコルソンのレイヴン・チャップマン戦が、リヤド・シーズンで初めて組まれた女子世界タイトルマッチとして選ばれたことを挙げ、「彼女がどれだけ手厚く導かれて王者になったかを示す証拠だ」と主張している。
なお、その試合でニコルソンはチャップマンを判定で下し、タイトル防衛に成功している。
ブラウンは、ニコルソンがあのような大舞台に立つだけの実績を積んできたとは思っていない。そのような注目度の高い、収益性のあるポジションは、女子ボクシングを現在の高みに引き上げてきた先駆者たちにこそふさわしいと考えている。
「いいえ、そうは思いません。だって、これは私のことでもスカイのことでもないんです。私たちが目指している存在——ケイティ・テイラー、アマンダ・セラノ、クラレッサ・シールズのような女性たちのためのものなんです」と、ブラウンはMatchroomのバーチャル番組『Face-Off』の中で語った。
「私たちは彼女たちのようになろうと努力しているのに、あのチャンスは本来、そういった女性たちに与えられるべきものだった。それこそが、“スプーンで与えられた”って意味なんです」とブラウンは続けた。
プロとして約9年戦ってきた36歳のブラウンは、これまで一度も本格的に試されるような場面がなく、敗北経験もない。対戦相手を傷つけるだけでなく、しっかり仕留める力も兼ね備えている。
一方、ロンドンを拠点にする29歳のサウスポー、ニコルソンもキャリアを順調に歩んできた。世界を渡り歩きながら、ほとんどラウンドを落とすことなく階級を上り詰め、世界王座を獲得。彼女は、試合の序盤から相手の動きを封じ、戦術的に“拘束”して主導権を握るスタイルで知られている。
ブラウンは、自分がペースを握り、勝負どころで一気に加速できることが、土曜夜の試合で決定的な差になると確信している。彼女は、ニコルソンがその強度に対応できるとは思っていない。
「彼女はプロの試合で一度も“ギアを切り替える”必要がなかった。毎回同じスカイ。誰も彼女に“引き出し”を使わせるほどのプレッシャーをかけてこなかったからよ」とブラウンは語る。
「私も同じ。プロキャリアの中で、まだ誰にも自分のギアを変えさせられたことはない。私はずっと自分のテンポで戦ってきて、リングの中で起こることは、すべて私が許したことだけ。」
「彼女がリングを使って動き回ろうとするのは分かってる。彼女はそれが得意だから。でも、私はそれを許さない。私はギアを切り替えて、どんどん変化をつけていく。そしてこれは2025年最高の試合になるわ。」