タノンサック・シムスリが東京で行われた試合でクリスチャン・アラネタにスプリット判定勝ちを収め、IBF世界ジュニアフライ級(ライトフライ級)王座を獲得した。
フィリピンの
アラネタ(25勝3敗、20KO)は、2024年1月に同胞アルビン・マグラモをノックアウトしてIBFランキング1位の座を確保して以来、世界タイトルへの挑戦の機会を待ち続けていた。
アラネタはマグラモ戦の後、手首の手術を受けることとなり、1年以上のブランクを余儀なくされた。彼は今回の復帰戦を華々しい勝利で飾ることを願っていた。
しかし、第3ラウンドにダウンを奪ったにもかかわらず、セブ出身のアラネタに栄光は訪れなかった。タイのタノンサック・シムスリがキャリア40戦目にして初の世界王座を獲得。12ラウンドにわたる激しい攻防の末、勝利を手にした。
判定は、115-112でシムスリ、114-113でアラネタ、116-111でシムスリと、スプリット判定での結果となった。
シムスリ(39勝1敗、34KO)は序盤から多彩なパワーショットを自在に繰り出し、第2ラウンドにはジャブからの右ストレートをクリーンヒットさせるなど、2ラウンドを明確に取って試合をリードした。
しかし第3ラウンド、アラネタの大きく弧を描いた左カウンターが決まり、シムスリはダウン。フィリピン人挑戦者にとって大きなチャンスとなったが、詰め切ることができず、次のラウンド開始時にはシムスリが完全に立て直していた。
シムスリは中盤にかけて主導権を握り、連続して強烈な右をヒットさせる場面もあったが、第6ラウンドには終盤にアラネタが重い左を叩き込んで反撃するなど、試合は一進一退の展開に。
後半に入るとシムスリが頭部とボディへの的確な攻撃で差を広げ、特に疲れの見えたアラネタに対し、第10~11ラウンドではジャブが効果的に機能した。
最終ラウンド、アラネタは一発逆転を狙って前進を続けたが、逆にシムスリの短い右を浴びて足を止められてしまった。
判定を待つ時間は緊張感に包まれたが、最終的に手を挙げられたのはシムスリだった。アラネタは、もしこのチャンスがもっと早く訪れていたら――と、悔しさを噛みしめる結果となった。