無敗のウェルター級タラス・シェレスチュクは、約3年半に及ぶブランクを経てリングに復帰。7月5日、ルイジアナ州シュリーブポートのサムズ・タウン・カジノで行われたBLKプライム主催の興行で、ジャーニーマンのロドリクス・リヴジーを2回TKOで難なく下した。
2011年世界選手権で金メダル、2012年ロンドン五輪で銅メダルを獲得したタラス・シェレスチュクは、長く続いたキャリアと人生の中での苦しい時期に終止符を打てたことを素直に喜んでいる。
「リングに戻れて本当に興奮したよ」とシェレスチュク(20勝0敗1分、12KO)は
『ザ・リング・マガジン』に語った。「キレも集中力もあったし、すべてが計画通りに進んだ。」
「最初から試合を支配して、2回に見事なノックアウトで締めくくった。ボクシング復帰を飾るには最高の形だったよ。」
シェレスチュクが最後に試合を行ったのは2022年3月、ロシアが祖国ウクライナに侵攻してからわずか2週間後だった。対戦相手は
ガブリエル・マエストレで、その試合に臨む彼の胸中には当然、故郷の状況があった。
「オレと祖国にとって、本当に信じられないほど辛い時期だった」と、今も続く戦争について語った。「それでも試合はキャンセルしなかった。アドバイザーや多くの友人たちはやめた方がいいと言ってくれたけど、オレは出場を決めた。全力を出しきったし、自分では勝ったと思ってる。でもなぜか、判定は引き分けだったんだ。」
「あの試合の後は、祖国を支援することに気持ちを切り替えた。ボランティアとして活動して、前線にいる仲間たちに物資を届ける手伝いをしてたんだ。同じ頃に所属していたプロモーション会社が経営難で潰れて、フリーエージェントになった。それからは、再びリングに戻るために懸命に努力を続けてきた。でも簡単な道のりじゃなかった。試合直前に相手がケガをしたり、別のケースではマネージャーやトレーナーが自分の選手をオレと戦わせるリスクを避けたがったりしてね。」
2012年のロンドン五輪後にプロ転向して以降、シェレスチュクのキャリアは決して順風満帆とは言えず、じわじわと進んできた形だ。しかし、39歳となった今も、彼自身はまだ全盛期の力を維持していると感じている。
「年齢はただの数字だ――今のほうが強くてキレもあって、かつてないほど調子がいい」と彼は語る。「頭を使ってトレーニングしてるし、体のケアも徹底してる。常に学び、進化し続けているんだ。若い選手たちとも普段からスパーリングしてるけど、経験があるぶん、自分のほうに優位性があると思ってる。この競技が本当に好きなんだ。日々の鍛錬も、規律も、試練も楽しんでるよ。」
「オレを突き動かしてるのは、プロとしての世界チャンピオンになるっていう、デビュー当初からの目標だ。アマチュア時代には世界王者になったし、今はプロのリングでその同じ夢を追いかけてるんだ。」
ウクライナ出身のシェレスチュクは現在、妻とともにロサンゼルスで暮らしており、年間を通じて理想的な気候のもと、トレーニングに最適な環境を楽しんでいるという。この気候が心身のバランスを整え、エネルギーを保つ助けにもなっている。
ボクシングから離れていた困難な時期を支えてくれた要素のひとつでもあり、今では明確な目標を掲げて再始動している。
「これから先が本当に楽しみなんだ」と彼は語る。「今の目標は、とにかく試合を重ねてアクティブでいること。そして、主要4団体すべての世界ランキングに戻ってきて、世界タイトル挑戦のチャンスを掴み、そして必ず勝ち取ることだよ。
デヴィン・ヘイニー、
ライアン・ガルシア、
ホセ・ラミレス、
ロランド・ロメロといったビッグネームたちが階級を上げてきて、ウェルター級がまた盛り上がってきてる。そういう選手たちをこの階級に歓迎するし、そういうビッグファイトに臨む準備はもうできてるよ。」
「2025年の残り、そして2026年は、オレにとってだけじゃなく、ウェルター級全体にとっても大きな章になると本気で信じてる。」
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