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二つの陣営の物語:イタウマとホワイト、ヨーロッパの反対側で進めるそれぞれの戦い準備
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Declan Taylor
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二つの陣営の物語:イタウマとホワイト、ヨーロッパの反対側で進めるそれぞれの戦い準備
ロンドン(イングランド) — モーゼス・イタウマが「ついに理想のコーチを見つけた」と確信したのは、ベン・デイヴィソンのジムへと続くドアにあったガラス窓がきっかけだった。

その日、まだドアをくぐってもいなければ、ハーローを拠点とするデイヴィソンの指導を受けたこともなかったが、2024年春、その窓越しに見えた光景は、このエセックスの一角では何かが少し違うことを感じさせた。

当時19歳のヘビー級イタウマは、自分の言葉を借りれば、すでにボクシングが嫌いになりかけていたという。日々の練習は単調に感じられ、この競技は単純で退屈だと思えていた。それは、彼が“地球上で最高の有望株”と評されていた最中のことだった。

「壁にぶつかって、それを越えられないような感覚だった」と、イタウマは『ザ・リング』誌に語っている。


「でも、ダニエルデュボアやジョー・ジョイスローレンス・オコリーといったトップヘビー級たちとスパーリングをしてきて、ボクシングには確かにレベルの差があるとわかっていた。それでも、自分はもうそれ以上学べないような感覚だったんだ。」



普通なら、その年齢でプロキャリアもわずか数戦のボクサーは、まだまだ吸収すべきことが山ほどある“空のコップ”のように感じるはずだ。しかし、イタウマとボクシングの間には何かしら噛み合わないものがあった。

デイヴィソンが、その状況を一変させたというが、実はイタウマは最初、彼のもとを訪れるつもりはほとんどなかった。というのも、そのジムにはすでにアンソニー・ジョシュアファビオ・ワードリーリー・ウッドら名だたるボクサーが多数在籍しており、自分が成長するために必要だと感じるだけの時間や注目を得られないだろうと考えていたからだ。

最終的に、兄カロルからの励ましの言葉、そしてあの“窓越しの一瞥”が彼の気持ちを変えた。

「正直に言うと」と彼は語る。「ベンのことを考えたとき、彼のジムにはすでにスターが多すぎて、自分に時間を割いてくれるとは思えなかった。必要なだけの時間をトレーナーからもらえないだろうと。だから最初はジムに行く気もなかった。でも兄が、『ベン・デイヴィソンを試してみても損はない』と言ってくれたんだ。たくさんのコーチを試したけれど、ベン・デイヴィソンは実は最後に試した人だった。」


「それでジムに行ったんだけど、ドアにジムの中が見えるガラス窓があってね。中をのぞいたら、ベンが俺のデータを全部並べて、ノートに何やら書き込んでいたんだ。

中に入ったら、彼が『ほら、君はこういうことをやっている。自分で気づいているかはわからないけど、やっているんだよ』って言ってきた。そんなふうに指摘してくれたコーチは、他にはいなかった。それからスパーリングを始めたら、『OK、君がこう動くと相手はこう反応する。そのときにこう仕掛ければチャンスになる』と言われたんだ。

『そんなうまくいくわけない』と思ったけど、実際にやってみたらできたんだよ。そこで“この人の言うことは本物だ”とわかって、そこから意気投合したんだ。

今まで指導を受けたコーチたちを悪く言うつもりはないし、みんなに愛情と敬意を持っている。でもベンは、ボクシングの違う一面を教えてくれた。パンチを打って打ち返される、それだけじゃない。ボクシングは実は全体がチェスゲームなんだ。」

昨年ベンと組んで以来、イタウマは4戦全勝すべてKO勝ちで、その全てが2ラウンド以内決着。対戦相手も、デビュー当初の典型的なジャーニーマンから、22勝1敗のデンジー・マッキーンや21勝1敗のマイク・バログンといった実力者へと着実にレベルを上げてきている。




しかし、試合当日こそイタウマは両者を鮮やかに仕留めたものの、舞台裏ではイタウマとデイヴィソンのコンビも順風満帆というわけではなかった。新しい選手とトレーナーの関係にはよくあるように、特にこれまでと指導法が大きく異なる場合、慣れるまでの期間が必要だったのだ。

彼はこう続ける。
「ベン・デイヴィソンのジムに入った当初は、最初の数回のスパーで本当にイライラしてた。考えることが多すぎたから。でも、それって運転と同じで、やればやるほど上達するものなんだ。結局は何事もそうだよ。

練習を重ねるほど精度も上がったし、みんなが“ボクサーとしての完成度”を褒めてくれるのも、準備やチーム、そして当然ながら自分自身の努力のおかげだ。

だからこそ新しいトレーナーを探したんだ。何か新しい刺激を取り入れて、新鮮さを保つのが好きなんだよ。時には少し変化が必要なときもある。

でも一番すごいと思うのは、ジムにあれだけ多くのスターがいるのに、ベンも\[アシスタントの]リー・ワイリーやバリー・スミスも、それぞれの選手に必要な時間をきちんと割いてくれること。最初に心配していたのがそこだったから、それが一番印象的だったね。」

ホワイト、好み通り静かに調整続行


一方その頃、約1,500マイル南西では、8月16日にイタウマと対戦するディリアン・ホワイトが、居住地でもあるポルトガルのすっかりおなじみとなった環境でトレーニングを積んでいた。

今回もバディ・マクガートがキャンプを指揮しているが、この殿堂入りトレーナーは最近、「イタウマの映像は一切見ていない」と明かしている。本当かどうかは別として、イタウマはまったく気にしていないという。「うちのチームはホワイトの映像をしっかり見ている」と彼は言う。「何をすべきかはわかっている。」

近年の恒例として、ホワイトはキャンプ中ほとんど表に出ず、最近になってようやくSNSにわずかな登場やトレーニング映像が出回る程度。それでも、この試合に向けて非常にハードに仕上げてきたのは明らかで、37歳にして抜群のコンディションを誇っている。




キャンプには一切の報道陣訪問がなく、メディアへの対応もごくわずかだ。ある日のZoom取材で、『ザ・リング』誌が元世界王者の彼にキャンプの様子を尋ねた。

「ポルトガルでは移動しているよ」と彼は話す。「滞在先は滞在先で決まっていて、ジムはそこから道を少し行ったところにある。友人が所有している“チャンピオンズ・ジム”という場所で練習しているんだ。

彼と話し合って、ここでどうキャンプを行うか決めたんだよ。まだ一般公開はしていないけど、パーソナルトレーナーをやっている別の仲間がいて、俺たちはそのジムを使って練習している。本当に助かっているし、彼は親友なんだ。」

今回の試合は、2019年12月にサウジアラビア・ディルイヤでマリウシュ・ワフと対戦して以来、初めてのサウジ遠征となる。あのときはアンソニー・ジョシュアがアンディ・ルイスとの世界タイトル再戦に勝利した興行の前座で、試合の通知を受けたのはわずか数週間前。キャリア最高の271ポンドでリングに上がり、コンディションは万全ではなかったが、3者とも大差の判定で勝利を収めた。ただし、内容は決して美しいものではなかった。

あれからほぼ6年、彼は再びサウジのリングに立つ。今回は間違いなくコンディションが良く、体重も大幅に軽くなっているはずだ。だが彼は、キャンプ中に一度も体重計に乗っていないと強調した。

「とにかくやるべきことをやってきたよ」と彼は言う。「バディが必要としていること、見たいと思っていること、それをどう見せるかに集中してきた。チームの話をちゃんと聞いてきたんだ。彼らは長く俺のそばにいて、俺自身よりも俺のことをよく分かっているはずだから、言われたことをやるだけさ。

でも、体重計には去年12月、前回の試合以来一度も乗ってないんだ。」

そして今、試合週の始まりとともに、両者はそれぞれのジムという安全地帯を離れ、サウジの地で最終調整を進めながら土曜の夜を待つ。「もうハードワークは終わった」とホワイトは言う。「あとは戦うだけだ。」


イタウマ対ホワイト戦は、eスポーツ・ワールドカップ・ファイトウィークのメインイベントとして行われ、DAZNのペイ・パー・ビューで独占生中継される。

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