元4階級制覇王者
ワシル・ロマチェンコや、WBC・WBO・リング誌のスーパーフライ級統一王者
ジェシー“バム”ロドリゲスのように、動きと角度を駆使して相手を攻め立てるスタイルでボクシング界を魅了してきた選手は数少ない。
その影響は次世代のトッププロスペクト、
スティーブン・ナバロのファイトスタイルにも表れている。
21歳のスーパーフライ級ナバロは、ESPNで放送されるザンダー・サヤス vs ホルヘ・ガルシア・ペレスのアンダーカードとして、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン・シアターで行われる8回戦でクリストファー・リオスと対戦し、キャリアの次なるステップを踏もうとしている。
「俺は火の中で生きてきたし、それを受け入れてる」とナバロは『ザ・リング』誌に語った。「常にそれをやってきたし、学びながら吸収していく。“スポンジのように吸収する”っていう姿勢こそ、この競技の本質だ。常に最高の相手と戦い、最高の選手とスパーしようとしてる。ボクシングで自分がどこを目指すべきか分かってるし、一歩一歩、そこに近づいている。」
「ロマチェンコは俺のお気に入りの一人。彼の“ノー・マスチェンコ”という名前を奪いたいくらいだ」とナバロは冗談を交えて語った。
ナバロ(6勝0敗、5KO)は、オーソドックスとサウスポー両方の構えを使い分け、角度を変えて攻め込むスタイルで急成長を遂げている。リオス(11勝2敗、7KO)は、プロキャリアわずか7戦目のナバロにとって2度目の8回戦となる。
ナバロが初めて8回戦を経験したのは、4月5日にラスベガスで行われたフアン・エステバン・ガルシア(15勝2敗2分、12KO)戦で、4ラウンドTKO勝ちを収めたものの、そこには試練もあった。
第4ラウンド序盤、右アッパーと右ストレートでロープまで追い込まれたナバロだったが、すぐに立て直し、ガルシアに頭体への連打を浴びせて主導権を奪い返した。ラウンド終了12秒前、レフェリーのアレン・ヒギンズが試合を止めた。
この勝利でナバロはNABF北米スーパーフライ級王座を獲得。ロサンゼルス出身の彼は現在4試合連続KO勝利中で、そのいずれも4ラウンドを超えていない。
「すべては準備にかかっている」とナバロは語る。「コンディションを整えること、それが精神的にも肉体的にも大きな要因になる。前回の試合では、ペースを落ち着かせて流れを引き戻すことができた。それをガルシアと経験できて良かったよ。」
ナバロがその激しい場面で落ち着いて対応できたのは、スパーリングで対峙してきた名だたる選手たちとの経験によるものだ。
これまでにナバロは、3人のパウンド・フォー・パウンド級スター選手たちとスパーを経験している。バム・ロドリゲス(21勝0敗、15KO)は直近の試合でWBOのベルトを追加し、井上尚弥(30勝0敗、27KO)、中谷潤人(31勝0敗、24KO)といった無敗の王者たちとも手を合わせてきた。
さらには、元4階級制覇王者ローマン“チョコラティート”ゴンサレス(52勝4敗、42KO)ともスパーリングを行っている。
「まるで夢みたいだった」とナバロは語る。「世界王者だろうが経験の浅い選手だろうが、大事なのはマインドセット。その中で何を得られるかだ。俺は常にそれを意識しているし、自信をつけさせてくれた。自分がどのレベルにいて、どこを目指すべきかが見えたんだ。」
これまでナバロはすべての試練を完璧にクリアしてきた。ただし、今後トップランクが彼をどのようなペースで成長させていくかはまだ不透明だ。とはいえ、ナバロ自身は、どんな道であっても勝ち続ける限り前に進む覚悟ができている。
「“出世街道を突き進んでる”って言う人もいるけど、俺は“正しい道”を進んでるだけ」とナバロは語る。「すべてはパフォーマンス次第。これまで毎試合で結果を出してきた。もしトップランクやチームが、次戦で世界タイトルに挑むべきだと判断するなら、俺はその舞台に応える。そしてそれを現実にする。それを支えるのは、覚悟と日々の努力なんだ。」