シャクール・スティーブンソンに関して、世間では少し誤解が広がっている。よく言われるのとは裏腹に、彼が試合を組むのは決して難しいことではない。だが、問題は“名前のある相手”をリングに引っ張り出すこと――それこそが本当に難しいのだ。
シャクールが望むのは、ワシル・ロマチェンコ、ジャーボンタ・デービス、デビン・ヘイニー、ウィリアム・セペダ、テオフィモ・ロペスといったビッグネームたち。しかし、これらの試合はいまだ実現しておらず、彼はやむなく階級内の“底辺”とも言える選手たちと戦ってきた。
今となっては、スティーブンソン自身も新たに誰かを名指しで呼び出す気はないという。ある意味で、これらのビッグネームは“口だけで実際には動かない”と彼は感じているのだ。それでもなお、スティーブンソンがボクシング界のビッグイベントに参加したいという意欲に変わりはない。
そのために必要なのは、ふさわしいダンスパートナー――つまり、真に価値のある対戦相手だ。
ギャリー・アントワン・ラッセルには、「顔面にパンチを入れたくならない相手」なんて存在しない。そして数週間前、彼はホセ・バレンズエラとの一戦でまさにその本領を発揮した。140ポンド級でタイトルを手にしたその夜は、ラッセルにとって“仕事が楽な日”だったと言っていい。
その姿を見たシャクール・スティーブンソンも、素直に感銘を受けたという。それほどまでに、彼のパフォーマンスは印象的だった。そしてスティーブンソンは、次戦でラッセルと拳を交えることもやぶさかではないと考えている。
「もし条件が合うなら、彼との対戦はぜひ実現させたい」と、スティーブンソンは自身のSNSで語っている。
普段のシャクール・スティーブンソンなら、対戦相手に対して多少なりとも敵意を抱くものだ。だが、ギャリー・アントワン・ラッセルに関しては、それがほとんど感じられない。
それは決して“恐れ”から来ているわけではない。むしろ、まったく逆だ。
現時点では、スティーブンソンがWBCライト級(135ポンド)のタイトルを返上して階級を上げるのか、それともラッセルが5ポンド落としてスティーブンソンの階級にやってくるのかは不明だ。そうした詳細は舞台裏で調整されることになるだろう。
ただ、一つだけ確かなことがある。仮にこの試合が実現すれば、そこに“友情”や“情け”といったものが入り込む余地は一切ないということだ。
「俺たちは毎日のようにスパーリングしてたんだ」とスティーブンソンは続けた。「彼にはめちゃくちゃリスペクトしてるよ」