まだ正式発表はされていないものの、カネロ・アルバレス対テレンス・クロフォードの一戦は、ボクシング界で最も広く知られた“秘密”のひとつとなっている。
しかし、満員の観衆の前でそのビッグマッチが実現する前に、アルバレスには片付けなければならない“仕事”が残っている。
2024年当時、アルバレスはスーパーミドル級の4団体統一王者として君臨していた。当然のことながら、どの階級にも「自分がチャンピオンだ」と叫ぶ選手はいるものだが、そんな声は無視して構わない。この階級において、アルバレスこそが“本物の王者”だった。しかし、IBFは独自の判断で彼に最後通告を突きつけた。「指名挑戦者のウィリアム・スカルと対戦するか、王座を返上するか、選べ」と。
アルバレスはそうした“脅し”を軽くは見ない。結果として彼はIBF王座を返上し、自らの道を選ぶことにした。しかし今、自由に進んだその道の先で、彼は「実際には失っていないもの」を再び取り戻す準備ができている――それが、5月3日にリヤドで行われる試合だ(DAZN PPVでライブ配信予定)。
アルバレスは、あの「4団体統一王者」という感覚を恋しく思っている。スカルを打ち負かし、赤と金のIBFベルトを奪い返すことができれば、再び王座コレクションが完成する。しかし、シャクール・スティーブンソンによれば、それも長くは続かないという。
クロフォードが9月の対戦に向けて、14ポンド(約6.3kg)の筋肉を増やし、2階級上げてくるにもかかわらず、スティーブンソンは「アルバレスがクロフォードに太刀打ちできるとは思えない」と見ている。
とはいえ、スティーブンソンの見方は突飛なものではない。多くの人々が、クロフォードならボクシング技術とフットワークで判定勝ちできると考えており、アルバレスにとって最大の勝機は「ノックアウトのみ」と見ているのだ。
アウトボクシングで安全に戦うのは当然の選択だし、スティーブンソンも親友でありPFPスターでもあるクロフォードがその戦法を取ったとしても、何も不満はない。ただし、それが唯一の勝ち方だとは思っていない。
アルバレスはこれまで数多くの試合で強打に耐えてきたことから、タフネスには定評がある。しかしそれでも、スティーブンソンは「アルバレスだけがノックアウト勝ちできるわけではない」と強く確信している。
「彼(クロフォード)はアルバレスを止めることができる」とスティーブンソンはiFL TVで語った。「できるさ。」