【アトランティック・シティ(ニュージャージー州)】- シャフラム・ギヤソフは一度、ジャロン・エニスとエイマンタス・スタニオニスの統一戦を土曜夜に実現させるため、指名挑戦者の権利を譲った。
だが、プロモーターのエディ・ハーンは、無敗のウズベキスタン人コンテンダーが再び同じように譲歩するとは限らないと見ている。エニスもハーンのマッチルーム・ボクシングに所属しているが、ウェルター級であと2試合を望んでおり、その中にギヤソフとの対戦は含まれていない。
フィラデルフィア出身のエニス(34勝無敗、30KO、1ノーコンテスト)は、4団体時代における史上2人目のウェルター級完全統一王者になることだけに集中している。
エニスにとっての潜在的な障害は、統一王者にありがちな問題でもあるが、自身がリトアニア出身のスタニオニス(15勝1敗、9KO、1ノーコンテスト)から獲得したWBA王座に対する、ギヤソフの指名挑戦権がすでに期限を超えているという点だ。27歳のエニスは、WBC王者マリオ・バリオス(29勝2敗1分、18KO)やWBO王者ブライアン・ノーマン・ジュニア(27勝無敗、21KO、1ノーコンテスト)との対戦を優先したいと考えている。
IBFとWBA、さらにThe Ringの無敗王者であるエニスにとって、もしハーンと共にギヤソフ(17勝無敗、10KO)にさらに長く待つよう説得できなければ、WBAから王座をはく奪されるリスクもある。ギヤソフはエニス対スタニオニス戦のアンダーカードで試合をこなし、格下のアルゼンチン人フランコ・オカンポ(17勝3敗、8KO)を4回TKOで下して調整を続けた。
「エニスはこのまま一気に駆け上がる可能性があると思う。ただし、ギヤソフが指名挑戦者として控えている」とハーンは語った。「そこが問題なんだ。彼は今回、ステップアサイドしてくれた。しかも彼はうち(マッチルーム)がマネジメントしてる選手でもある。だから『ちょっとそっちで待っててくれよ』ってわけには簡単にいかないんだ。」
31歳のギヤソフの状況は、一般的な指名挑戦者とは大きく異なる。2016年リオ五輪の銀メダリストである彼は、2歳の娘に「世界チャンピオンになる」と約束していた。しかしその娘は、わずか1カ月あまり前に、稀な脳疾患でこの世を去った。
ハーンは、非常に感情的な状況の中でもギヤソフがトレーニングと試合に集中し続けた姿勢を称賛した。また、マッチルーム・ボクシングの会長として、娘の死によってギヤソフがこれ以上ステップアサイドを受け入れない可能性があることも理解している。
「彼はすでに今回、一度ステップアサイドしてくれた」とハーンは語った。「シャフラムは本物のファイターだということは分かっている。彼は僕たちのためにそうしてくれたし、素晴らしい試合だと理解していたからだ。でもこれが終わった後は、きっと彼はこう言うだろう――『いや、今度は俺の番だ』と。…分かるだろ? それは当然のことなんだ。だから、どうなるか見てみよう。」
Keith Idec はザ・リング・マガジンの上級ライター兼コラムニスト。X(旧Twitter)では @idecboxing で連絡可能。