シャバズ・マスードが13か月のブランクに区切りをつけて、
ピーター・マクグレイルにユナニマス判定で勝って空位の欧州ジャーフェザー級王座を手にする。
“ザ・マーベリック”はモナコのサル・デ・ゼトワールで、ラビットパンチで減点も食ったリバプール出身の相手を相手に美しいボクシングを見せて、
DAZN中継の中で比較的クリアな勝利を積み上げる。
マスードは言う。「めちゃくちゃハードな試合だったし、自分が分が悪い状況なのも分かっていた。ピーターの実績は理解しているし、めちゃ技術のあるファイターだから、彼にもリスペクトを送る。
だいたい序盤は相手の情報を拾う時間に使うんだけど、ラウンドが進むごとにどんどん楽になっていった。」
2人は本来6月21日にバーミンガムで対戦する予定だったが、マスードのケガで延期に。
そして約6か月を経て、ようやくモンテカルロで激突し、英国122ポンド最強と新しい欧州ジャーフェザー級王者を決める一戦が実現することになった。
マスードにとっては昨年11月、国内の宿敵リアム・デイヴィスにスプリット判定で勝って以来の実戦だった。
マスードは立ち上がりの時間をもらえなかった。同じサウスポーのマクグレイルが、開始直後から前に出てプレッシャーをかけ、後退させようと一気に踏み込んだからだ。マスードは序盤に鋭いワンツーを当てたが、それ以外はマクグレイルが主導権を握り、試合のテンポもアクションも支配した。
それでもマスードは落ち着いていて、ラウンド終盤には自分のバックハンドを2発しっかりヒット。2ラウンド目もマクグレイルは勢いそのままに入り、鋭いワンツーを決めて流れをつかむ。さらにラウンド終盤、コーナーに詰めたマスードにもう一発を叩き込んだ。
名門エヴァートン・レッド・トライアングル所属のマクグレイルにとって理想的な立ち上がり。一方、マスードはビビる様子もなく、じっくりと相手の隙を組み立てていった。3ラウンドも29歳のマクグレイルが良かったが、4ラウンドではマスードが距離を掴み始めた気配。5ラウンドに入るとストーク出身のマスードは完全にリズムに入り、強烈なストレートのバックハンドをヒット。
以降のラウンドでもパターンは同じ。マクグレイルが前足でプレッシャーをかけ続け、マスードは外を回りながら対応する展開。ただ、2人合わせて26勝でストップ勝ちが10つしかないことから、試合が判定に向かうのは見えてきた。
7ラウンド残り40秒、マスードがカウンターで美しいリアアッパーをヒット。しかしマクグレイルも吠え返し、ラウンド終了まで攻勢に出る。
8ラウンド終盤、マクグレイルが背中から倒れたが、レフェリーは正しくスリップ判定。だが9ラウンドが始まるとすぐに本当の危険が訪れる。マスードがギアを上げ、執拗に追いかけ回しながら頭とボディへ強打を打ち込む。特に鋭い左アッパーが入った場面からリバプール勢には危機感が走ったが、なんとか踏ん張ってゴングを聞いた。
10ラウンドはマクグレイルが良い入りを見せたが、クリンチの中でマスードの後頭部を叩いたとしてジュゼッペ・クァルタローネが減点を宣告。互角の流れだっただけに重要な場面だった。それでもマクグレイルは11ラウンドで巻き返し、最終回も前へ出続けた。
疲れが見えるマスードは手数が減り、それがマクグレイルの攻撃を許す展開に。
それでもマスードは試合終了のゴングと同時に両手を上げ、外側を回りながら勝利をアピール。ジャッジもそれに同意し、116-111、115-112、114-113でマスードの勝利を支持した。
次に何を望むか聞かれると、マスードはフェザー級へ上げて、マクグレイルのジム仲間でもあるWBA王者
ニック・ボールとの対戦が第一ターゲットだと示唆する。
彼は言う。「でかい計画を持ってる。スーパーバンタムの減量がかなりキツくなってきてるし、世界タイトルのためなら階級を上げるのも全然構わない。上の階級には英国人の世界王者ニック・ボールがいるし、彼も同じジムの選手だ。あの試合がほしい。自分は階級を上げないといけない。」
プロモーターのエディ・ハーンは続ける。「シャバズとやりたいって言う選手はそんなに多くない。彼のスキルとクオリティはみんな知ってるし、126ポンドではさらにパンチ力も増すだろう。これはとんでもなく大きな勝利だ。」