4年前、ブランドン・アダムスは
セルヒイ・ボハチュクにかけがえのない教訓を与えた。
当時のボハチュクは自分は無敵だと信じていたが、アダムスの放った左フックがその信念を粉々にし、10ラウンド戦は突然終幕。ウクライナ人のキャリアも脱線することになった。2021年3月、プエルトリコ・グアイナボで行われた試合。
アダムスは全てのスコアカードで劣勢に立たされていたが、8ラウンド終盤にクリーンヒットを放ち、ボハチュクの頭を大きく仰け反らせてダウンを奪った。
ふらつきながらもボハチュクはカウントに応じたが、まっすぐ立てなかったためレフェリーのラモン・ペーニャが試合をストップした。
ボハチュクは「彼との最初の試合で、後半ラウンドの厳しさを知らなかった。そして自分のあごは鉄のように強いと思い込んでいた」と
「ザ・リング・マガジン」に語った。「彼から学んだのは、自分のあごは鉄ではないということだった。もっと動きが必要で、もっとディフェンスが必要だった。今はそれを修正した。以前より良くなっている。そしてこのビッグイベントの一員となり、多くの人々に“今の自分は違う”と示せることを、とても嬉しく、ワクワクしている」
セルヒイ・ボハチュク(26勝2敗、24KO)は、プロ初黒星を喫したブランドン・アダムス(25勝4敗、16KO)への雪辱の機会を、9月13日に迎える。舞台は
カネロ・アルバレス対テレンス・クロフォード戦のアンダーカードだ。
アダムス対ボハチュクの再戦は、ラスベガスのアレジアント・スタジアムで行われるイベントのNetflix配信が始まる前に、YouTubeで配信される予定となっている。
ボハチュクは当初、南カリフォルニア出身のアダムスとの即再戦を望んでいた。しかし時間が経つにつれ、再戦の前に他の相手と戦い、とりわけディフェンス面で自らのスキルを磨く方が自分にとって有益だと悟るようになった。
ボハチュクは「彼との最初の試合の前、8ラウンドや10ラウンドを経験したことがなかった。当時は17戦17KOで、どの試合も最長で6ラウンドか7ラウンドだった。後半ラウンドがどういうものかを知らなかったんだ。今はヴァージル・オルティスやブライアン・メンドサと2度、12ラウンド戦っている。長いラウンドがどういうものかを理解した。今の自分は違う」と語った。
タフなボハチュクは2024年8月のラスベガスでの試合でオルティスから2度のダウンを奪ったものの、マジョリティ・デシジョンで敗れ、WBCスーパーウェルター級暫定王座も失った。彼はオルティス(23勝無敗、21KO)との再戦も望んでいるが、今は全神経をアダムス戦での雪辱に集中させている。
ドラフトキングスによれば、30歳のボハチュクは36歳のアダムスとの10ラウンド再戦で5対1の有利予想となっている。前回の試合では、例の左フックを浴びる前、ボハチュクが69-63、68-64、68-64とリードしていた。
ボハチュクは「最初の試合では全ラウンドをリードしていたのに、たった一発で試合が変わってしまった」と語った。「それがボクシングだ。難しいスポーツだ。全ラウンドを取っていても、一発もらえばそれで終わり。初戦のときは経験がなく、そんなことも知らなかった。今は理解している」
「今はマニー・ロブレス(トレーナー)と一緒に取り組んでいる。彼から学んだのは、1ラウンド目から12ラウンド目まで常に備えていなければならないということだ。どのラウンドでも準備が必要なんだ。これがボクシングだ。全ラウンドをリードしていても、一発もらえばそれで終わり。アダムス戦のように、それで終わってしまうんだ」
Keith Idecは「ザ・リング・マガジン」のシニアライターおよびコラムニストである。X(旧Twitter)
@idecboxingで連絡可能。