すべてのボクサーは人間だが、先週土曜の夜、ジャロン・エニスはまるで別の惑星から来たかのようだった。
ニュージャージー州アトランティックシティのボードウォーク・ホールで行われたメインイベントで、エニス(34勝無敗、30KO)はエイマンタス・スタニオニスを圧倒し、相手がその場にふさわしくないようにさえ見せた。現在ウェルター級の統一王者となったエニスは、6ラウンド終了時のコーナーストップでほとんど汗をかくこともなく勝利を収めた。
この試合を実況中継していたセルヒオ・モラは、エニスのパフォーマンスに感銘を受けた。全体的に見て、エニスは完璧だった。彼の流れるようなスイッチヒッターぶりを「147ポンド級最強」と呼んでも、モラは文句を言わない。むしろその意見に同意する。彼の考えでは、エニスは同階級の他の王者たちとも戦い、最終的には全王座統一を果たすだろうと見ている。
しかし、27歳のエニスが本当に試されるためには、階級を上げてバージル・オルティス・ジュニアとの対戦交渉を再開する必要があるとモラは考えている。モラが何より見たいのは、その一戦だ。
誰が勝つかという点については、多くの人が直近の印象に引っ張られるかもしれない。しかしモラは、エニスの圧巻のパフォーマンスを見た後でも、オルティスが負けるとは断言しない。
「わずかだけど、バージルに分があると思う」とモラは『ザ・リング・マガジン』に語った。「わずかに、ね」。
数か月前、オルティスとエニスの対戦は今にも実現しそうな雰囲気だった。しかし、エニスが「ウェルター級にとどまり、残るベルトを獲りたい」と明かしたことで、両陣営の協議は決裂した。
とはいえ、いずれエニスの体格ではもう減量が厳しくなり、ジュニアミドル級へと階級を上げざるを得なくなるだろう。そのとき、オルティス(23勝無敗、21KO)は彼の主要なターゲットの1人になるはずだ。
モラは、エニスに対してオルティス戦を避けろと言っているわけではない。フィラデルフィア出身のスターであるエニスは、最強の相手と対戦すべきだと考えており、モラにとってその「最強」がオルティスなのだ。
評論家の立場から好き勝手に語っているようにも見えるが、モラは自身の考えを裏付ける理由もきちんと説明している。なぜオルティスがエニスとの対決で勝利するのか――。
「バージルはモンスターだ」とモラは続けた。「こういうタイプの相手には慣れている。バージルは体が大きくて、強くて、パワフルだ。ジャブも鋭いし、守備も堅いハイガードスタイルを持っている。ぜひ見てみたい試合だ。エニスも特別な才能を持っているけど、やっぱりサイズの差は大きいよ。」