バーミンガム(イングランド)発 —— もう一つの番狂わせの勝利から数時間後、サム・エギントンの顔は「ボクサーになりたいのか?」というSNSで頻繁に見かけるミーム画像さながらだった。そこには、過酷なトレーニングの代償として頭部や胴体に繰り返し受ける打撃で負った痛々しい怪我や、その後の苦難が映し出されている。
目は完全には開かず、腫れは時間とともに引いていくだろうが、肩に新たに獲得したWBCインターナショナル・シルバー王座のベルトをかけて隣に立つ幼い息子レイトンの姿が、彼に安らぎを与えていた。一方で、リー・カトラー(15勝2敗、7KO)が頭から突っ込むようなファイトをしていたこと、つまり複数の反則行為について話しかけてくるファンたちは、あまり慰めにはならなかった。
エギントン(36勝9敗、20KO)にとって、それらを変えることはできないし、最終2ラウンドを戦い抜いて試合を完全に掌握することもできなかった。3者とも彼の優勢を示していた判定の中で、アレクサンダー・ウォルターの奇妙な90-83のスコアを除けば、試合は際どい展開だった。
レフェリーのマーク・ベイツは、リングサイドドクターの判断を無視できなかった。31歳のエギントンは、頭部衝突によって右目の上にできたカットが悪化し、試合続行不可能と判断された。多くの人が事前に「今夜のベストバウト」になると予想していた試合は、不完全燃焼の形で幕を閉じた。
カトラー陣営は、今年後半に再戦と雪辱の機会を求めて動くだろう。ゴールは目前にあっただけに、その惜敗はなおさら悔やまれる。
では、勝者エギントンは今回の一戦をどう捉えているのだろうか?
「俺は試合の判定に関して、あまり信用できる判断ができないタイプなんだ。勝ったのか負けたのか、毎回驚かされる。でも今回は、自分が勝ったって確信が持てたし、それもかなり余裕だったと思ってる」とエギントンは『ザ・リング・マガジン』に語った。
「2ラウンドぐらいは、ロープ際で変に小技を見せようとして、バカみたいなことをして落としたかもしれない。知ってる人は分かるけど、あれは俺らしくない。それ以外は正直、はっきり勝ってたと思うよ。」
先の発言からも分かるように、エギントンはいま恵まれた立場にあり、再び各方面からのオファーが舞い込むことは間違いないだろう。調子の良い相手を下して英国ジュニアミドル級王座挑戦者決定戦を制したばかりだが、本人にこだわりはないという。
「キャリアを通して、俺は常に与えられたチャンスを受け入れてきた。うまくいってるものを無理に変える必要はないだろ? これからチームでいろいろ検討して、それから決めるよ。」
エギントンは、今回もいつも通りの激しい戦いを終えたばかりで、トレーニングを完全に休む必要があることを受け入れている。最低でも1週間、もしかするとそれ以上、身体をしっかりと休ませる必要があるだろう。ただ、昨年3月にアバス・バラオウに判定負けしたEBU欧州タイトル戦と比べると、今回は負担の少ない試合だったと振り返る。
「リーはフィジカル的にかなり強くて、後退させるのは簡単じゃなかったけど、そういう場面の合間では…俺の経験とリングでの駆け引きが光ったね。誰も俺のボクシング技術を評価しないけど、あいつはジャブだけで俺を黙らせられると思ってた。でもそれで驚いたんだろうな。夜通し殴り合いでも全然構わない、それは俺の得意分野だけど、彼は痛感したと思うよ。」
自分の試合映像以外はあまりボクシングを観ないというエギントンだが、英国王者サム・ギリー(18勝1敗、9KO)がルイス・グリーン(17勝4敗、11KO)との再戦を控えており、その日程がまだ再調整中であることには言及した。両者は昨年10月18日にクイーンズベリーのヨークホール興行のメインを務める予定だったが、グリーンの負傷(詳細非公表)により中止となり、代役で急遽出場したジャック・マクガンは3度目のTKO敗けを喫することになった。
「今回の試合は何らかの形で挑戦者決定戦だったとは思うけど、あの再戦を待っているわけにはいかない。ずっと話は出てるし…俺はこれまで進路なんて計画したことがない。その時その時で来た話を受けてきただけさ。」
「周りの声なんて気にしないし、これから出てくる若手もそうであるべきだ。全員がフロイド・メイウェザーみたいになれるわけじゃない。勝つこともあれば負けることもある。俺は最初から今までずっと一緒にいるチームの言うことだけを聞いてきた。それがマインドセットってやつだ。負けることは悪いことじゃない。問題は、そこからどう立ち上がるかってこと。俺は何度も立ち上がって、こうしてまだ現役でやってる。」