カネロ・アルバレスは、
テレンス・クロフォードとの
スーパーファイトに備え、
ジャロン“ブーツ”エニスをトレーニングキャンプに呼び、切り札を用意していることを示した。
スイッチヒッターのエニスは、そのスキルセットで長らくクロフォードの“カーボンコピー”と評され、リング誌、WBA、IBFの元王者は、本番が9月13日にラスベガスのアレジアント・スタジアムでNetflix配信で行われる前に、“バド”を完全再現する役目をメキシコのスーパースターから与えられる。
『ザ・リング』2024年最優秀トレーナーで、
ジェシー“バム”ロドリゲスや
ヴァージル・オルティス・ジュニアを指導するロバート・ガルシアは、スーパーミドル級4団体統一王者アルバレスがエニスをチームに加えるのは“神の一手”だと言う。
「ブーツをキャンプに呼んだのは最高の一手だと思う」とガルシアは『
ザ・リング』に語る。「この選択は、カネロがキャリア最高のコンディションを作りにいく意思表示だ。大きなプラスになる。今カネロが取り組んでいるであろうトレーニング内容を考えれば、彼にさらに大きなアドバンテージを与えると自分は見る。」
「スタイルもスピードも、体格まで含めて、ブーツはクロフォードに最も近い存在だ。ブーツはカネロにとって完璧な準備になる。つまりカネロは任務を果たすために準備万端でトップコンディションに仕上げる、ということだ。いいサインだ。」
「キャリア終盤に入ると、競技をビジネスとして見るようになってキャンプで自分をそこまで追い込まなくなる選手が多い。だがブーツは“楽なスパー”ではない。ブーツがクロフォードに勝てると見る声もあるくらいだ。」
「正直、以前よりも今のほうがカネロにわずかに分があると自分は見る。」
ガルシアは世界レベルのスパーリングの重要性を強く信奉する。
昨年、最終的に7回KOで決着した
フアン・フランシスコ・エストラーダ戦に向けて調整するなか、ロドリゲスは
ローマン“チョコラティート”ゴンサレスと壮絶なスパーを重ねた。
「トレーナーとして、選手をフィジカルだけでなくメンタルまで仕上げるために、こういうことをやらなければならない」とガルシア。「だからこそ、キャンプにブーツがいるのは大きな違いを生む」
「カネロに逆張りはできない。彼はより大きくて強い男だ。だがクロフォードがやってのける絵も見える。ここ数戦のカネロはややフラットフットで、ワンショットずつの打ち出しが多く、以前ほどプレッシャーをかけられていない。スペクタクル感は薄い。仕留めにいかず、相手を生かしてしまう」
「カネロがかつてのようなハングリーさを見せず、圧をかけないなら、判定でカネロに勝つにはクロフォードは完璧な試合運びが必要になる。だが自分はそこに金を賭けない。もし賭けろと言われたら、カネロに張る」
ガルシアは、アルバレス(63-2-2、39KO)を相手にクロフォード(41-0、31KO)が何を達成しようとしているのかも理解する。
2019年、弟のマイキー・ガルシアもライト級からウェルター級へ二階級アップし、エロール・スペンスJr.に挑んだが、結果はスペンスのワンサイド判定勝だった。
「二階級上げるのは難しい。とくにその階級の最強とやるならなおさらだ」とガルシア。「クロフォードは、俺たちがスペンス相手にやろうとしたことをやりにいく。相手のチョイスがハマれば起こり得る。何だって可能だ」
「ただ、クロフォードには体重のジャンプがデカすぎる。だからカネロは“勘違いだった”と皆に示すようなステートメントを残す必要がある。もし接戦で終わるなら、カネロの見え方は良くないと思う」
Manouk Akopyanは『ザ・リング』のリードライターだ。XとInstagram(@ManoukAkopyan)をフォローする。