無敗であり、新たに世界王者のベルトを手にすることはリチャードソン・ヒッチンズを有頂天にさせるが、彼は敗れる悔しさを忘れない。
アマチュア時代、ヒッチンズ(19勝0敗、7KO)はよく知られ、尊敬を集めていたが、その戦績は完璧ではなかった。負けることを好まないものの、彼はそれを乗り越えることができた。しかし、2015年にジャメイン・オルティスに敗れたことを思い出すと、ヒッチンズは怒りを覚える。
「俺は勝っていたのに、奪われたんだ」
とヒッチンズはマッチルーム・ボクシングのインタビューで語った。
過去のこととして片づけるのではなく、ヒッチンズはプロの舞台でオルティスとの決着をつけたいと考えている。幸いにも、彼が持つIBF世界タイトルは、オルティスを引き寄せるには十分な“エサ”になる。
2024年にテオフィモ・ロペスとの接戦で判定負けを喫した後、オルティス(19勝2敗1分、9KO)は見事に立ち直り、2連勝を飾っている。直近ではヨマー・アラモを下し、調子を取り戻した。
だが、その内容にヒッチンズは完全には感心していない。彼の見方では、アラモはすでに“終わった”選手だという。それでも、オルティスの試合中にあくびが出るほどだったヒッチンズは、元オリンピアンとして、彼に自分の王座への挑戦を許す用意がある。
実績の面では、オルティスにはまだ課題が残っている。世界タイトルは未獲得で、『ザ・リング・マガジン』のランキングにも名を連ねておらず、主要4団体のどこでも指名挑戦者の座は遠い。それでも、ヒッチンズにとってはそんなことはどうでもいい。オルティスは自分に勝っているその事実がある限り、ヒッチンズの心は決して穏やかではいられない。
「今こそその時だ。もう俺たちは大人だろ」
カメラに身を乗り出しながら、ヒッチンズは続けた。
「彼には養う家族がいて、この競技に自分の足跡を残したいと思っている。俺に勝てると感じてるし、俺は彼に勝てると信じている。それがボクシングってもんだ。願わくば、俺たちは再び向き合うことになるだろう」