ニューヨーク — 無敗のIBF世界スーパーライト級王者
リチャードソン・ヒッチンスは、土曜の夜、予告通りに
ジョージ・カンボソス・ジュニアを難なく攻略した。
テオフィモ・ロペスがリングサイドに座り、ビル・ヘイニーがカンボソスに指示を飛ばす中、落ち着いた様子のヒッチンスはシャープなボクシングを展開し、ジャブと右を駆使して元ライト級統一王者を的確に打ち崩し、マディソン・スクエア・ガーデン内のザ・シアターで行われた12回戦のタイトルマッチを第8ラウンドのボディブローで終わらせた。
ヒッチンス(20勝無敗8KO)は支配的な内容でカンボソスに左のボディを打ち込み、ダウンを奪った。カンボソスは10カウント以内に立ち上がったが、レフェリーのマイケル・グリフィンは続行不能と判断し、試合を止めた。
ヒッチンスにとってKO勝ちは特に重要だった。というのも、これまでリスクを取らず、判定勝ちに徹するスタイルに批判の声が上がっていたからだ。
「俺が本物だって、ずっとボクシング界に言い続けてきた」とヒッチンスはリング上でDAZNのクリス・マニックスに語った。「知らなかったなら、今知ったはずだ。俺が来るって言ってたのに、みんな聞く耳を持たなかった。でももう、俺はここにいる」
オーストラリア・シドニー出身のカンボソス(22勝4敗10KO)は、13カ月前にパースのRACアリーナで行われたIBFライト級タイトルマッチで
ワシル・ロマチェンコに11ラウンドTKO負けを喫して以来、キャリア2度目のKO負けとなった。
27歳のヒッチンスは、昨年12月7日にプエルトリコ・サンフアンのロベルト・クレメンテ・コロシアムでリアム・パロ(オーストラリア)をスプリット判定で下して獲得したIBF王座の初防衛に成功した。一方、31歳のカンボソスは2021年11月、ザ・シアターでテオフィモ・ロペス(22勝1敗13KO)にスプリット判定勝ちしてリング誌・IBF・WBA・WBOライト級王座を獲得して以降、戦績を2勝4敗とした。
攻勢を強めたヒッチンスは、第8ラウンド序盤にカンボソスを自陣コーナーに追い詰め、打ち合いの中で左アッパーを打ち込んだが、カンボソスはこれを耐えた。
その後もヒッチンスのジャブが有効に機能し、やがて強烈なボディブローが試合を終わらせた。
「デビン・ヘイニーとの試合を見た」とヒッチンスは語った。「ヘイニーはあまりインファイトをせず、ダメージを与えた場面でも顔ばかり狙っていた。だから俺は近い距離でショートショットを当てようと思った。実際に打ち込んだら、カンボソスの顔が歪んだのが見えた。血の匂いがした。でもすぐに倒すんじゃなく、じっくり痛めつけたかった。そして彼の父親に言ったんだ――“息子を愛しているなら試合を止めるべきだ”って。彼はタフで、本物のファイターだったけど、今夜は俺のほうが上だった」
カンボソスはヒッチンスの見事なパフォーマンスを称え、自身を破った最初の3人――ロペス、ヘイニー、ロマチェンコ――と同じクラスの実力者であることを認めた。
「彼は素晴らしいファイターだ」とカンボソスは語った。「みんな偉大な選手たちだ。俺は常に偉業を追い求めている。自分自身を信じていたけど、今日はタイミングが合わなかった。彼は今夜の俺には少し手強すぎたよ」
第7ラウンドではヒッチンスの手数こそやや減ったものの、依然として試合の主導権は完全に握っていた。
第6ラウンドでは、前のラウンドの流れをそのまま引き継ぎ、前に出ようとするカンボソスを相手に的確な攻撃を続けた。
第5ラウンド残り約1分でヒッチンスは右を打ち込みカンボソスにダメージを与えた。ヒッチンスは仕留めにかかったが、カンボソスも最低限の反撃で踏みとどまり、第6ラウンドへ持ち込んだ。
第4ラウンド終盤には、正確なパンチを繰り出すヒッチンスが完全に主導権を握り、カンボソスはジャブも右もかわすことができず一方的な展開となった。
第3ラウンド残り1分を切ったところで、両者は右の打ち合いを見せた。ヒッチンスは再び右をヒットさせて主導権を握り、そこから鋭いジャブを打ち込んで勢いを加速させた。
第2ラウンド終了間際には、ヒッチンスがショートの左フックをヒット。ジャブも機能し、カンボソスの接近を許さなかった。
第1ラウンドでは、残り1分45秒を切った場面でカンボソスが左フックをヒットさせたが、ヒッチンスは動じることなく、距離を保ちながらオーバーハンドの右を返した。
その最初の右は、ヒッチンスの試合展開を暗示する一撃だった。そして試合後インタビューでは、ヒッチンスが不遜な態度でデビン・ヘイニー(32勝無敗15KO 1無効試合)を名指しで挑発した。
「素晴らしいパフォーマンスだった」とプロモーターのエディ・ハーンは語った。「ジョージは戦士だが、今日のリッチーには圧倒した上でさらにギアを上げる姿が必要だった。これまではそのまま12ラウンドまで流してしまうこともあったが、今日は攻め切って圧倒した。本当に見事だった」
「これは、彼がロペスやヘイニーと肩を並べるために必要だったアピールだ。今夜は素晴らしい雰囲気の中で、偉大な若きアメリカ人王者が見せた素晴らしいパフォーマンスだった。いよいよ彼がビッグファイトに進む時が来た」
Keith Idecはザ・リング・マガジンの上級ライター兼コラムニスト。X(旧Twitter)では @idecboxing で連絡可能。