レイモンド・フォードはキャリアに大きな後悔はないが、少なくとも一つだけ違う選択をしておけばよかったと思っていることがある。
普段のフォードを街で見かけても、決して「小柄な男」という印象は受けないだろう。肩幅は広く、背中も厚く、全体的に体格がしっかりしており、彼の所属する階級からは想像しにくい大きさを持っている。
それにもかかわらず、フォードは長年126ポンド級で戦ってきた。減量は常に過酷だったが、ニュージャージー出身の彼は「この階級で世界王座を獲れる」と信じており、2024年には実際にそれを達成した。しかし、その王座は儚く、初防衛戦でニック・ボールに奪われてしまった。
フォードの頭にはリベンジの文字が浮かんでいたが、まずは一度気持ちを切り替える必要があった。130ポンド級へ上げたことで、彼は再起の足がかりを得た。オーランド・ゴンザレスに勝利した後、最近ではアトランティックシティでトーマス・マティースを圧倒し、連勝を重ねている。
もし敗れていれば、フォードはランキングの底辺に沈んでいたかもしれない。しかし、勝利によって再びタイトル戦線に名を連ねる可能性が出てきた。誰が相手でも構わないという姿勢を見せるフォードだが、彼の本命はラモント・ローチ・ジュニアかもしれない。
ただし、このマッチアップには一つ問題がある。ローチは現在135ポンド級の選手であり、さらにジャーボンテイ・デービスとの再戦が決まるかどうかを待っている状態でもある。
ボクシングの世界では、ときに「仮定」の中で物事が語られる。仮に、ローチがデービスとの再戦に勝っても負けても、もしくは引き分けても、「130ポンド級を卒業する」と決めた場合――それはフォードにとって願ってもない展開だ。126ポンド級には約6年間とどまったフォードだが、130ポンドでは長居をするつもりはない。もしローチから「次はお前だ」と言われれば、迷わず階級を上げるつもりだ。
「130ポンドに長くとどまるつもりはない」とフォードは『Boxing News』に語った。「いつでも階級を上げる準備はできてるし、やろうと思えばすぐにでも戦えるさ。」