ボクシングの世界は目まぐるしく変わる。ほんの一瞬目を離せば、重要な出来事を見逃してしまう。
およそ1年前、
イサック「ピットブル」クルスは
ロランド「ローリー」ロメロに勝利し、世界王者となった。それが今では、クルスが王座を失い、代わってロメロが新たなチャンピオンの座についている。
両者が対戦した夜、クルスはロメロをまるで格下のように扱い、ゴングが鳴った瞬間から一方的な展開で試合を支配。第8ラウンドでの激しいストップ勝ちを収めた。
その後、ロメロはマヌエル・ハイメスを相手に再起戦を行い、さらに
今年初めにはニューヨーク・タイムズスクエアで開催された『The Ring』誌主催の第2回イベントでライアン・ガルシアと対戦した。当初、ロメロに期待されていたのは、せいぜい面白いジョークのひとつやふたつ程度であり、試合の内容にはほとんど注目が集まっていなかった。しかし、実際には違った。試合前のロメロはいつものようなおしゃべりを控え、口数少なく臨み、リング上ではガルシアを完全に圧倒した。
クルスは自宅の豪邸からその試合を見守り、ロメロがガルシアを上回る運動量、技術、そして打撃力を見せつけたことに驚かされた。ロメロ(17勝2敗、13KO)がそこまでのパフォーマンスを披露できたことに、あれだけのダメージを負った後だとは信じられない思いだったという。
「驚いたよ」とクルスは『Fight Hub』 TVに語った。「ローリーがあんなに静かだったなんて信じられなかった。あれだけのKO負けから立ち直ったことを素直にうれしく思うよ。」
現在、クルス(27勝3敗1分、18KO)は、7月19日に予定されているアンヘル・フィエロとの再戦に臨む予定であり、ロメロと同様にキャリアを立て直したいと考えている。彼はこの一戦に勝利することで、より大きく価値のある舞台への道が開かれることを期待している。
積極的なファイトスタイルで人気のクルスだが、今はフィエロとの一戦に集中しているとはいえ、心のどこかでは今後についても思いを巡らせている。ロメロがあれほどのパフォーマンスでリングに戻ってくるとは予想していなかったが、現在では最も注目される選手の一人となった。そのため、もしロメロが再戦を希望するのであれば、クルスとしてはすぐにでも応じる覚悟があると明言する。
「もし再戦を望むなら、俺はいつでも準備万端だ。」