イングランド・リバプール発。ちょうど一年前、
ピーター・マクグレイルは、
オレクサンドル・ウシク対
タイソン・フューリーのヘビー級統一王座再戦のアンダーカードで、ヨーロッパ・ジュニアフェザー級王者デニス・マッキャンとの注目度の高い一戦に向けた最終準備を進めていた。
試合前のドーピング検査で不検出事項が見つかったため、マッキャンがカードから直前に外れたことで、マクグレイルは
代役のリース・エドワーズという才能ある選手を相手に、スーパーフェザー級で10ラウンドの勝利を収めることになった。しっかりした白星ではあったが、マッキャンを倒して得られたであろう評価や報酬に比べれば、ごく一部にすぎなかった。
6月、マクグレイルは無敗の英国ライバルであるシャバズ・マスードとの対戦に合意した。しかし試合の3週間前、
マスードが負傷で撤退し、マクグレイルにはイオヌツ・バルタという厄介な相手と戦うという報われにくい役目が回ってきた。
マクグレイルは集中力を切らさず、同じ英国勢の多くが失敗してきた堅牢なルーマニア人相手に勝利してみせた。
12月6日、マクグレイル(12勝1敗、6KO)とマスード(14勝0敗、4KO)は
モンテカルロで対戦する予定だ。ヨーロッパ・ジュニアバンタム級タイトルが懸けられる。
過去の経験から、マクグレイルは早合点しないことを学んでいるが、29歳のリバプール出身ファイターは、ついに英国のライバルの一人をリングに迎えることに胸を躍らせている。
「この試合には本当にワクワクしている」とマクグレイルは
「ザ・リング・マガジン」に語った。
「モンテカルロでのメインイベントで、ヨーロッパタイトルが懸けられている。大一番だ。ジムでも絶好調で、現地に行くのが待ちきれない。」
「これまでの人生で最大の試合になるし、12月6日は最高の夜になるだろう。」
マスードはスリックで頭の切れるファイターで、相手を罠に誘い込むことのできるタイプだが、マクグレイルは2020年五輪で英国代表として戦い、アマチュアとして長年トップレベルの舞台に立ってきた。試合はハイリスクのチェスマッチになる可能性も十分ある。
意外なことに、両者はこれまで一度もスパーリングをしたことがなく、マクグレイルもマスードの研究に長い時間を割いてきたわけではないが、彼を尊重するだけの情報は持っている。
「ここ数年、彼の試合をそんなにたくさん見てきたわけじゃない」と彼は言った。「俺と同じで、アマチュア時代からずっと活動してきた選手だし、長年リングに立ってきた。とても良いファイターだが、俺は自分が偉大なファイターだと信じている。」
マクグレイルは疑いようのない才能の持ち主で、2年前に無名のアメリカ人ジャリコ・オクインにKOされた衝撃から見事に立ち直っている。
マクグレイルはミシガン出身のオクインを2度倒し、内容でも圧倒していたが、たった一発の右をもらって捕まってしまった。
その衝撃的敗北から可能な限りの形で立ち直り、マクグレイルは強敵相手に4連勝を挙げている。
プロ転向当初、マクグレイルは将来確実に世界王者になると広く期待されていたが、今なお彼の真の能力は完全には示されていないという明確な感触が残っている。マスードに勝利すれば初の主要タイトルを手にし、世界級へ向けた大きな一歩となる。
「いくつかの試合では断片的な部分だけ見せてきたが、まだまだこれからだし、それを示すのは自分の役目だ」と彼は言った。
「相手のレベルの問題だとは思っていない。結局は自分次第で、ジムでは本当に調子がいい。」
「自分のスタイルが大きく変わったわけではなく、ただ良くなっているだけだ。改善の余地は常にある。リングの内外で完璧なファイターなんていないから、ずっといろいろな部分を改善してきた。その進化を見せるのが待ちきれない。」