アンソニー・ジョシュアがアメリカで試合をしたのは、2019年6月が唯一だ。当時の彼はヘビー級王者であり、急遽代役となった
アンディ・ルイス ・ジュニアを圧倒すると期待されていた。
それから6年半以上が経ち、ジョシュアは12月19日にマイアミで再びアメリカのリングに戻ってくる。今回は、ジェイク・ポールと対戦する“遅れて決まった代役”という立場でだ。
経験の浅いポールに勝機はほとんどない、いや“ほとんど”という言葉ですら、雪が降らないフロリダで雪を見るくらいにありえない、と多くの人が考えている。
しかし、大幅なオッズ不利にもかかわらず、ポール(12勝1敗、7KO)は、元2階級統一世界ヘビー級王者ジョシュアに“ボクシングの授業”をしてやるつもりだと豪語している。
「これは“アンディ・ルイス2.0”だ」とポールは最近の記者会見で言う。「間違いなく(この試合に勝てば)ボクシング史上最大の番狂わせになる。マイク・タイソン対バスター・ダグラスと同じレベルだ。俺はリングに入って世界を驚かせるつもりだ。
「これが難しい挑戦だと分かっている。でも自分が何ができるかも分かっている。これは楽しくなる。俺は彼に顔をバラバラにされてもいい。顔を壊されてもいい。でもな、俺を止めるには殺すしかない。俺はこの試合に勝つためなら本気でリングで死ぬ覚悟でいる。」
さらにポールは、成し遂げれば“第二のオレクサンドル・ウシク”のような存在になる、と自らを重ね合わせた。
「俺は速いし、フットワークもいいし、顎も強い。パンチももらえるし、ハートも強い。隠れたノックアウトパンチがあるし、ボディへの攻撃もいい。みんな俺のジャブを過小評価している」とポールは言う。
「ジョシュアは歴代でも屈指のヘビー級だけど、ヘビー級にとって小さい相手と戦う方が実は難しいこともある。スピードの差があるからだ。あのパワーはすごいが、俺は8ラウンドの間、その一発だけを避ければいい。できる。
『ジャブをついて、スリップして、崩して、ポイントを取って、接戦にできる』と俺は分かっている。『リングに上がるだけで尊敬に値する』と言う人もいるが、違う。俺が勝つから尊敬しろ。」
さらにポールは、もし試合が苦しい展開になればジョシュアはプレッシャーに潰れるだろうとも挑発した。ジョシュア(28勝4敗、25KO)がルイス戦以降の10試合で6勝4敗と波があることも、自信につながっている。
ジョシュアは、昨年9月に
ダニエル・デュボアに5ラウンドTKO負けを喫して以来、試合をしていない。
「アンソニーのほうがプレッシャーは“1000%”大きい」とポールは言う。「これは彼に重くのしかかる。俺はリングに入って自由に戦える。もし彼が序盤から被弾し、ラウンドを落とし始めたら、“クッキーが崩れる”(=崩れ落ちる)と思うよ。」
Manouk Akopyanは『ザ・リング・マガジン』の主任記者である。 X (旧Twitter)およびInstagramでは@ManoukAkopyanで連絡可能。