オリビア・カリーにとって、
ケイ・スコットとの再戦は、単に“引き分けの気持ち悪さ”を払拭するためだけの試合ではない。
「これこそが“夢”のままだし、今もこのスポーツを続けている理由なんだ」とカリーは『ザ・リング』に語る。「前回の試合の前も、ずっと“その瞬間”がどんなものなのかを考えていた。今もその魅力は前回と同じ。でも同時に、“叶わない可能性”も味わってしまった。」
シカゴ出身のカリー(7勝2敗2分、2KO)とオーストラリアのスコット(4勝1敗1分)は、9月19日に同じフォックス・シアターで激しい打ち合いを演じた。41歳のスコットは距離を管理し、鋭いパンチで主導権を握る時間が多かった。一方でカリーは近距離での作業、とくにボディ攻撃で後半戦に盛り返した。
最終ラウンド終了時点で、両者の差はほとんどなかった。判定はその拮抗ぶりを反映し、マジョリティ・ドロー。ネイサン・パーマーとビンセント・サンティーノが95‐95、ローズマリー・グロスのみが98‐92でスコット。
36歳のカリーは、引き分けの後すぐにジムへ戻った。10ラウンドの実戦経験を踏まえ、再戦で必要なのは“大幅な改造”ではなく“細かな部分の改善”だと考えている。
「ダイヤルを10%だけ上げるように、細かい部分を微調整するだけで違いが出る」とカリーは言う。「引き分けだったことを考えれば、本当にそこに集中すればいい。勝敗を左右する“小さな部分”をどれだけ研ぎ澄ますかが重要。最近取り組んでいるのは、少し動きを増やすこと、頭の動きも増やすこと。前回は攻撃的になりすぎて、相手に軽いパンチを当てられすぎた。それがポイントとして積み重なってしまった。だからもっと責任を持って対応し、前回より早い段階からボディに行き、大きなショットを入れる。ダメージを与えることに集中して、オリンピックスタイルのボクシングに引きずり込まれないようにしたい。」
この引き分けはカリーにとって2試合連続のドローだった。2024年4月にはメロディ・ポプラバックともスプリット・ドローに終わっている。連続ドローにカリーは苛立ちを覚えたものの、スコット戦で見せたパフォーマンスには前回よりも手応えを感じていた。
「2つの試合は全然違う内容だった」とカリーは語る。「スコット戦では、いくつか明らかな欠点はあったけど、リングに出せるものを全部出し切った感覚があった。いい試合だったし、コンディションも良かったし、やるべきことはきちんとできていた。でもその前のドローでは、自分がリングでちゃんとやり切れていない部分があった気がする。」
2試合連続引き分けという状況を受け、カリーは徹底的に準備を進めてきた。初戦から92日後に勝ち切るためには、もう一段ギアを上げなければいけないことを理解している。そしてそれができれば、彼女がボクシングを始めた頃から抱き続けてきた“夢”が現実のものになる。
「夢を強く信じるのは大事だけど、努力を怠ったり、やるべきことをやらなければ、その夢は簡単に逃げていく。それを忘れてはいけない」とカリーは言う。「だから今はそこに集中している。勝ちたいなら、前回より少しでもいいパフォーマンスをしなきゃいけない。」