新たにヘビー級四団体統一王者となった
オレクサンドル・ウシクは、自身のキャリア最後になる可能性もある次戦の対戦相手について語る気はまったくなかった。
試合直後のリング上で、ウシクは次の相手について明言を避け、いくつかの名前を挙げはしたものの、具体的に誰と戦うかは明らかにしなかった。
ウクライナの魔術師ウシクに対して現在0勝2敗の
タイソン・フューリーは、3戦目のトリロジーを望んでおり、
デレク・チゾラはIBFの指名挑戦者。
ジョセフ・パーカーはWBOへの挑戦権を目前に控えている。そして、将来を嘱望される
モーゼス・イタウマも、来月ディリアン・ホワイトに圧勝すれば、挑戦の正当性をさらに高めることになりそうだ。ウシクは、自身が2度破った
アンソニー・ジョシュアの名前さえも挙げた。
だが深夜直前、10万人の観客がウェンブリー・ウェイを通って帰路につく中、スタジアム内の講堂でウシクは再び質問を受けた。年内にも実現する可能性のある次戦で、具体的に誰を狙っているのかを問われた。
試合直後に真意を明かさないのは、ウシクらしいスタンスだ。彼はこれまで、記者会見で相手を名指しして挑発するようなタイプではなかった。ロンドンのトッテナムでアンソニー・ジョシュアに初勝利を収めた際も、集まったメディアに対して「やりたいのはリンゴの木を植えることだけだ」と語っていた。
しかし今回は、24勝無敗(15KO)となった38歳のウシクにとって、植樹の予定すらないようだ。
「今はただ休みたい」とウシクは繰り返した。「次の対戦相手が誰になるかは言えない。」
「この試合のために3か月半準備してきた。その間、妻にも家族にも会っていない。毎日、14人のチームメンバーと同じ家で過ごし、毎日同じ顔を見ていた。」
「今は、自分で次に何をするかを選びたい。ボクシングもトレーニングも続けていくつもりだけど、次に何があるかはまだ言えない。」
アマチュアでヨーロッパ王者となり、オリンピック金メダリスト、そして2階級で無敗の三度目の四団体統一王者となったウシクに対しては、もはや達成すべきことがない中で、今後モチベーションを保てるのかという問いも投げかけられた。
しかし彼は、自分の成功はモチベーションとは関係ないと語った。
「モチベーションなんて持ってない」と彼は言った。「あるのは規律だけだ。モチベーションは一時的なものだから。」
「今日モチベーションがあっても、明日にはなくなっているかもしれない。トレーニングキャンプで朝起きても、俺にはモチベーションなんてない。あるのは規律だけだ。俺が起きれば、チームも起きて、そして一緒にトレーニングに向かう。」
「モチベーションはアマチュアのスポーツ選手のためのものだ。モチベーションも悪くないが、規律のほうがはるかに重要だ。」
その規律こそが、ウェンブリー・スタジアムでの初登場をまたしても英国の地での栄光で締めくくることにつながった。ウシクにとってこの地は、まるで“第二の故郷”のように感じられる場所だという。土曜の夜の勝利は、ウシクにとってイギリス人ヘビー級選手に対する7連勝目となり、これで英国人相手の戦績は8戦全勝(3KO)となった。注目すべきは、ロードウォリアーであるウシクがそのうち4勝をイングランドで挙げており、ウクライナでの勝利は一度もないという点だ。
ウシクはこう語った。「俺にとってイギリスは第二の故郷のようなものだ。なぜなら、俺のすべてのトロフィーはここで手に入れたから。ヨーロッパアマチュア選手権、ロンドン五輪2012、トニー・ベリュー、デレク・チゾラ、アンソニー・ジョシュア、そして今回のデュボア戦。」
「この国にとても感謝している。本当にありがとう。あなたたちは最高だ。」