ヘビー級世界タイトルの再戦に絶対の自信を持つオレクサンドル・ウシクは、今夏ウェンブリー・スタジアムでダニエル・デュボアを再び撃破するという労苦の先に待つ「果実」にすでに焦点を合わせている。
ウシク(23勝無敗14KO)、ザ・リング・マガジン、WBC、WBA、WBO王者は、7月19日にデュボア(22勝2敗21KO)と行う四団体統一戦のプロモーションのためロンドンに滞在している。これは、ウクライナ人がポーランド・ヴロツワフ・スタジアムでデュボアを9ラウンドでストップしてから23か月後の再戦となる。
月曜朝早く、ナショナルスタジアムのピッチ脇でデュボアとウシクが顔を合わせたフォトセッションでは、デュボアがウシクを突き飛ばす一幕もあったが、現在両者はロンドン市内の別の場所でメディア対応を続けている。
ロンドン・ブリッジにあるニュースUKビルから道路向かいのホテルまで歩く途中、通行人たちを唖然とさせたウシクは、陽気なムードそのままに、イギリスのボクシング記者たちとのラウンドテーブルに割り込んだ。ちょうどその場には、デュボアの伝説的プロモーター、フランク・ウォーレンもいた。
クイーンズベリー・プロモーションズの代表であるウォーレンが、デュボアがどのようにしてヘビー級の王座を奪うかを熱弁していた最中、ベビーブルーのチームジャージを着たウシクが73歳のウォーレンの背後にそっと忍び寄り、肩を叩いた。
「俺の車はどこだ?」とウシク。これに対しウォーレンは「負けたら馬車だ。勝ったら車だよ」と返答。
「ベントレーだ」とウシクが即座に返す。「俺は勝つ。ベントレーの…ベンテイガ、最高の車だ。」
ウォーレンは冗談めかして、「1970年代のベントレーTシリーズの4ドアセダンなら出してやるよ」と応じた。
ウシクの長年のマネージャーであるエギス・クレイマスも口を挟み、「フランク、俺なら今すぐ車を渡すね」と冗談交じりに語った。
この自信は決して根拠のないものではない。ウシクは、ユーモアと謙虚さを持ち合わせたキャラクターで知られているが、キャリア23戦のうち半数以上が世界戦であり、しかも無敗を誇るだけに、その自負も自然なものだ。
ウォーレンも、デュボアに課された試練が容易でないことを理解している。しかし、ポーランドで行われたあの夜の試合は、本来デュボアが勝っていたと今でも信じている。
WBA、WBO、IBF王座が懸かったその試合の第5ラウンド、デュボアがウシクの腹部に強烈な右を打ち込み、ウシクは床に倒れ、苦悶の表情を見せた。レフェリーのルイス・パボンはこの打撃をローブローと判定し、ウシクに約4分間の回復時間を与えた。3ラウンド後、デュボア自身がダウンを喫し、9ラウンドで再び倒れたところで試合はストップされた。
この件について、ウォーレンは証拠となるA4サイズの資料を指差しながら、「このパンチはベルトの下ではない」と主張する。
「誰が何と言おうと関係ない。ルールでは『へその位置』が基準だ。これが一連のパンチだ」と物理的な資料を示しながら語った。
「通常、ローブローを食らった選手が4分近くも休憩をもらうなんてあり得ない。しかも、本人が試合再開を求めても、レフェリーは『もっと休め』と言った。結局、あれはデュボアにとって大きな不利だった。」
「こういう試合では、特に相手の地元で、しかもウクライナ系が多いポーランドで戦うとき、レフェリーもジャッジも実質向こう側だ」とウォーレンは拳を突き上げながら付け加えた。
今回は違う。ウォーレンは確信している。ジャレル・ミラー、フィリップ・フルゴビッチ、アンソニー・ジョシュアを連続KOしてきたデュボアなら、ウェンブリーでウシクを吹き飛ばすことができると。
「彼はウシクをノックアウトする。倒す」とウォーレンは断言した。
「この試合では、デュボアが主導権を握らなければならない。自分から攻め、最初から痛みを与えなければならない。ウシクを後退させるんだ。後退させれば、あいつは30%の力しか出せない。だから、前に出続けなければいけない。」