オレクサンドル・ウシクが今月初めに
デオンテイ・ワイルダーとの対戦を望むと明かし、ボクシング界を驚かせる。
その発言は、ただの思いつきやリップサービスではなく、しっかりした意図を伴うものだったようだ。
ワイルダーは木曜、実現に向けて歯車が動き出していると語る。
「この試合は交渉中だ」とワイルダーは Seconds Out に語る。「心臓が喜びでドクドクしているし、めちゃくちゃワクワクしている。これは間違いなく実現すると感じている。何より素晴らしいのは、本当に交渉が進んでいる点だ。話だけじゃない。チーム同士でリアルな会話をしている。実現を楽しみにしているよ。」
ザ・リング/IBF/WBA/WBC王者のウシク(24勝0敗、15KO)は、この4年間で
アンソニー・ジョシュア、
タイソン・フューリー、
ダニエル・デュボアをそれぞれ2度ずつ撃破してきたことで、同時代のライバルがほぼ残っていない状況にある。
ワイルダーに対してウシクが惹かれるのは、強打を誇るアメリカ人で、2018年から2021年にかけてフューリーとの激しいライバル関係で世界的な注目を集めた、長期政権の元ヘビー級王者という点だ。
しかしワイルダー(44勝4敗1分、43KO)は、2020年以降の6試合で2勝4敗と苦戦していて、敗北はフューリー(7回TKO、11回KO)、
ジョセフ・パーカー(12回判定負け)、
ジャレイ・ジャン(5回TKO)に喫したものだ。
一方、ウシクは1月で39歳を迎えるが、ファビオ・ワードリー戦はビジネスにならないと判断し、先月
WBO王座を返上した。ウシクがワイルダー以外に追うべき“おいしい選択肢”は、ヘビー級の中でも多く残っていない。
アギット・カバイエルは1月にWBC暫定王座を争うが、彼のプロフィールはワードリーと似たようなものだ。ジャレイ・ジャン、パーカー、
マルティン・バコレといった面々は直近で敗れており、まだ階段を登り直す必要がある。そして20歳の怪物
モーゼス・イタウマは、有望株としての地位を固めている途上にある。
「来年も試合を続けたい。ボクシングを続けたい。デオンテイ・ワイルダーと戦いたい」
ウシクは先週 Boxing King Media に語る。「自分にとってとても興味深い相手だと思う。[ワイルダーは] 世界王者の男で、すごく有名で、めちゃくちゃ強いし、過去10年で最も偉大なヘビー級ファイターの1人だ。」
ウシクは以前から、キャリアを終える前にもう一度アメリカで戦いたいと話してきた。
ウクライナ人のウシクがアメリカで最後に試合したのは2019年で、2012年の五輪金メダルを経てプロ転向して以来、アメリカでの試合はわずか3戦しかない。
ウシク 対 ワイルダーの有力な舞台候補として、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンが挙げられる。
この舞台なら、ウシクは現代アメリカの最強ヘビー級と対峙しつつ、多くのウクライナ系アメリカ人ファンに向けてもアピールできる。
これはかつてヴァシル・ロマチェンコがMSGとMSGシアターで計6度戦った状況に似ている。
「ボクシングがどういうビジネスかは分かっている」
ワイルダーはそう語る。「1分前に何かを持っていても、次の瞬間には何もないなんてこともある。でも今回の件(ウシク戦)については、しっかり決まると感じている。とんでもない試合になるはずだ。」
Manouk Akopyanは『ザ・リング』のリードライターだ。X とインスタグラムで @ManoukAkopyan をフォローする。