ニューヨーク発——ライアン・ガルシアは、3月1日の夜、自分の目を疑った。
ジャーボンテ・デービスのライバルであるガルシアは、無敗のWBAライト級王者デービスが第9ラウンド序盤に膝をついたのを、ほかの誰もがそうであったように目撃した。しかしガルシアは、デービスが試合週に髪に塗った製品が目に入って視界がぼやけたと主張し、レフェリーのスティーブ・ウィリスが本来ノックダウンと判定すべき場面を無視し、さらにデービスの共同トレーナーであるカルビン・フォードにタオルで顔を拭かせるのを許可したことに、何が起こっているのかと疑問を抱いた。
ニューヨーク州アスレチックコミッション(NYSAC)のマット・デラリオ事務局長が『The Ring』誌に語ったところによると、その後、リプレイオフィシャルのリッキー・ゴンザレスが、明らかにラモント・ローチに有利となるポイント減点としてカウントすべき場面の映像を確認できなかったのは、リプレイ機器の不具合によるものだったという。
ウィリスはまた、第9ラウンド中にタイムアウトが宣告されていない状況でトレーナーがリングエプロンに上がったことを理由に、デービスを失格にする権利も有していた。
大本命だったデービス(30勝0敗、28KO、1無効試合)とローチ(25勝1敗2分、10KO)は、12ラウンドのマジョリティドローに終わった。ウィリスが前述のノックダウンをローチに有利なものとしてカウントしていれば、ローチが判定で勝利していたはずだった。
自身のメインイベントを金曜夜にマンハッタンのタイムズスクエアで控えている26歳のガルシアは、NYSAC(ニューヨーク州アスレチックコミッション)の規則に従って、何が許されているのかを正確に知りたがっている。
「ひどい。ツイートでも言ったけど、タンク(デービス)に対してでも誰に対してでもない」と、ロランド“ロリー”ロメロとの対戦を控えたガルシアは『ザ・リング・マガジン』に語った。「これはボクシングのルールの問題だ。もしあれが許されるなら、俺もリングで不快に感じたら同じことをするよ。膝をつくさ。モハメド・アリはサニー・リストンとやったときに膝をついたか? あの有名なやつだよ(1964年2月)、リストンがグローブに何かを仕込んだって言われたやつ。アリの目に焼けるような痛みを引き起こしたけど、彼は膝をつかなかった。だって膝をつくことは許されないからね。
「今回の件で彼ら(NYSAC)が何をするつもりか分からないけど、リプレイにアクセスできなかったっていう言い訳は、俺には胡散臭く聞こえる。だって、リプレイは生中継で流れてたんだぜ。生放送でリプレイを見せておいて、現場ではできなかったって、どういうことだよ? 明らかに技術的には可能だったはずだろ。だから俺には分からないよ。」
NYSAC(ニューヨーク州アスレチックコミッション)は、ガルシア(24勝1敗、20KO、1無効試合)に対し、禁止薬物オスタリンの陽性反応が出たことを理由に1年間の出場停止処分と120万ドルの罰金を科した。これは、昨年4月20日にバークレイズ・センターで行われたライバル、デビン・ヘイニーとの12回戦マジョリティ判定勝利後に発覚したものである。カリフォルニア州ビクタービル出身のガルシアは、今回ロランド・ロメロ(16勝2敗、13KO)と対戦し、約54週間ぶりにリングに戻る。試合はDAZNペイ・パー・ビューで配信され、『ザ・リング・マガジン』主催「FATAL FURY: City of the Wolves」大会の一環として、4試合構成で行われる(アメリカ国内価格は59.99ドル)。
ヘイニー(31勝0敗、15KO、1無効試合)は、元ライト級4団体統一王者で、ネバダ州ヘンダーソン出身。金曜夜には、カリフォルニア州アヴェナル出身で元WBC・WBO世界スーパーライト級王者のホセ・ラミレス(29勝2敗、18KO)と12回戦のセミファイナルで対戦予定となっている。もしガルシアがロメロに勝利し、ヘイニーがラミレスに勝てば、両者は10月にも再戦を行うことで合意している。
Keith Idecは『ザ・リング・マガジン』の上級ライター兼コラムニストである。X(旧Twitter)では@idecboxingで連絡を取ることができる。