ニキータ・チュー対マイケル・ゼラファの一戦は、2回まで好勝負を展開していたが、第3ラウンド開始からわずか3秒で劇的にストップされた。
元世界王座挑戦者の
ゼラファ(34勝5敗、22KO)は、偶発的なバッティングにより左目上を深くカット。ドクターとレフェリーのクリス・コンドンが協議した結果、続行不能と判断された。
「自分が止めたわけじゃない。なぜブーイングするのかわからない。止めたのはドクターだ」とゼラファは抗議した。オーストラリア国内で“10年に一度の大一番”と銘打たれていた試合がこの結末に終わり、ブリスベン・エンターテインメント・センターに詰めかけた数千人の有料観客は、消化不良の思いを抱くことになった。
試合後のインタビューでは両者が謝罪。
チュー(11勝0敗、9KO)は「マイケルが見えないと言っていたと聞いた」と語った。一方で、今後が別の方向へ進むのかどうかは依然として不透明なままだ。チューは、6か月間のトレーニングが報われなかったことを嘆いた。一方、33歳のゼラファは、ファンからの被害を避けるため、警備員に付き添われて慌ただしくバックステージへと引き揚げた。
ゼラファが好スタートを切っていただけに、この結末はいっそう拍子抜けの感が否めない。
前に出て、ファンの支持を集める相手を鋭いジャブの連打で捉えたが、その直後にはバランスを崩し、キャンバスに倒れかねない危険な状態に陥った。さらに被弾して打ち返されたところでレフェリーがブレークをかけ、後の展開を予感させる序盤の場面となった。
至近距離で一瞬打ち合いとなり、チューがガードの隙間を突いて左を差し込む。試合は立ち上がりから噛み合い、盛り上がりを見せていた。両者ともディフェンス面に不安を抱えていることは明らかで、それこそが観客が求めていた要素であり、決着必至の展開を予感させていた。
チューは第2ラウンド開始から前進圧力を強め、ゼラファは下がりながら間欠的にカウンターを返し、隙をうかがっていた。レフェリーが再び両者を分けると、元世界王座挑戦者の左目周辺にはすでにダメージが見られた。その光景が両者の動きを加速させ、若いチューには明確な狙いどころが生まれ、ゼラファには主導権を主張する必要性が突き付けられた。
ゼラファはクリーンな右を決めて応戦すると、チューもすぐに打ち返し、ギアを上げて前に出た。その結果、踏み込みながら放たれたフックをまともにもらい、後退してロープまで下がる場面もあった。
第3ラウンド開始直前、ドクターがゼラファの左目をチェック。出血は止まっていたものの、眉の下、目の上には深い裂傷が確認できた。
カメラは、ゼラファが続行可能だと口にする様子を捉えていたが、判断に時間がかかり過ぎていることは直感的に感じ取れた。そして間もなく、オフィシャルが試合を止めるジェスチャーを示した。
マッキーン、世界レベルでの躍進とさらなる高みを視野に
デンプシー・マッキーン(24勝2敗、16KO)は、公の舞台で再び勝利を挙げたことを喜び、トエセ・ヴォウシウトゥ(8勝3敗、7KO)を7回ストップで下した後、世界戦線への復帰に照準を合わせた。試合は一進一退の消耗戦となる場面もあり、ヴォウシウトゥはタフ過ぎるがゆえに厳しい展開を強いられた。
キャリアでの敗戦はいずれも
フィリプ・フルゴビッチと
モーゼス・イタウマに喫しており、両者はいずれもヘビー級のRingトップ10に名を連ねる存在だ。マッキーンは場面によってはバランスを崩し、本来はリーチを生かすべきところで、至近距離での打ち合いに引き込まれることもあった。
それでも3回には早くも35歳のマッキーンがヴォウシウトゥにダメージを与え、本人はそれを隠そうとしていたものの、さらに2回後には勝負の行方が見え始めた。アッパーの連打と鋭い大振りのパンチをクリーンヒットさせ、相手の足元を揺さぶった。
ロープ際に追い込み、反撃を許さない連打を浴びせたことで決着がついた。その後、マッキーンは“悪役”を演じるように、この夜の締めくくりとしてゼラファ勝利を予想した。
また、ネルソン・アソファ=ソロモナは、競技転向組の最新例としてプロデビュー戦に臨み、ジェレミー・ラティモア(1勝1敗)を相手に、アッパーを炸裂させて初回フィニッシュを飾った。
ニュージーランド代表として16試合に出場するなど、プロのラグビーリーグ選手として成功を収めたキャリアを経てボクシングに転向した29歳は、10歳年上の元プロ仲間を相手に難なく勝利したにもかかわらず、内容には満足せず、スタンスをより安定させる必要性を強調した。
スティーブン・イビッチ(8勝0敗1分、2KO)は、緩やかな立ち上がりから流れが行き来する展開の中、リアム・タリヴァーを相手に10回のマジョリティー判定勝ち(96-94×2、95-95)を収め、国内王座の防衛に成功した。
元スパーリングパートナーから対戦相手となったタリヴァー(7勝2敗、3KO)は終盤にかけて盛り返し、最終回には王者をぐらつかせた。捨て身で前に出た若いサウスポーの健闘を考えれば、採点が彼に有利とならなかったことに驚いた向きも少なくなかった。
判定結果にはブーイングが起こる中、イビッチは、これまでに同じラウンドを共有してきたタリヴァーの成長を称賛した。その上で、よりエキサイティングな試合に臨み、海外で自らを試したい意向を示し、「アメリカやイギリスのヘビー級は、こちらほど良くない」と付け加えた。
ウィルソン、4回でピアラを一蹴

元世界スーパーフェザー級王座挑戦者の
リアム・ウィルソン(18勝3敗、10KO)は、メインカードのオープニングで今大会最初のストップ勝ちを記録。技巧派のロデックス・ピアラ(12勝2敗、1KO)を4回でストップし、WBOランキングタイトルの防衛に成功した。
フィリピンからの来訪者ピアラは、ロープ際で数分間もがき苦しむこととなり、慎重な立ち上がりながらも手応えを感じさせた序盤の内容とは対照的な結末となった。第2ラウンドではウィルソンが早い段階から手数を当て続け、ダメージを受けたウィルソンは顔面が真っ赤になるほどだったが、3回終了のゴング直前にクリーンヒットをもらったことで、29歳は一気にギアを上げた。
第4ラウンド、フックやボディブローを次々と決めるウィルソンに、コーナーも目に見えて興奮していた。特にボディへの一撃は、圧巻のフィニッシュを予感させるものだった。鋭いワンツーに続き、ボディへのフェイントから左フックを叩き込むと、ピアラはそれを見抜けず、「ミスター・ダメージ」が試合を早々に終わらせた。
「正しい戦い方でボクシングする必要があった。彼は厄介な相手だったが、仕事はやり遂げた。次だ。変な感じだったよ。最初にメインイベントがあって、今はアンダーカードを楽しめるからね」と、試合後インタビューで冗談交じりに語った。一方、試合前には、今回とは異なる姿勢を示していた。
来月で、WBO世界スーパーフェザー級王者
エマヌエル・ナバレッテに対し、健闘を見せながらも9回KO負けを喫してから3年を迎える。
「ナバレッテとの再戦に値すると思っている。負けた当時、彼が再戦を与えてくれないなら、自分でその位置まで戻ると言ってきたし、まさにそれを実行している。時間は誰も待ってくれない。年齢も重ねているし、今を最大限に生かさなければならない」と、BoxingSceneに語った。
現在WBOランキング3位のコンテンダーであり、1位に位置するチャーリー・スアレスが、3月1日に行われるナバレッテ対ヌニェスの統一戦の勝者への挑戦権を優先的に得る見込みだ。2位の尾川堅一は、2022年6月にジョー・コルディナに惨敗ストップされて以降、低調な相手との試合にとどまっている。
試合間隔を空けずにリングに上がったことが、今回の内容でプラスに働いたはずだ。
全試合結果
157ポンド・キャッチウェイト(10回戦):ニキータ・チュー ND3(0分03秒)マイケル・ゼラファ
ヘビー級:デンプシー・マッキーン 7回TKO(1分27秒)トエセ・ヴォウシウトゥ
ヘビー級:ネルソン・アソファ=ソロモナ 1回KO(2分27秒)ジェレミー・ラティモア
ヘビー級:スティーブン・イビッチ 10回マジョリティー判定勝ち(96-94×2、95-95)リアム・タリヴァー
スーパーフェザー級:リアム・ウィルソン 4回KO(2分56秒)ロデックス・ピアラ
スーパーミドル級:マックス・リーブス 6回判定勝ち(60-54)ソニー・アビド
ライト級:ビリー・ポルキングホーン 6回判定勝ち(60-54)ジョマー・パリウェン
ミドル級:ブレイク・ウェルズ 9回テクニカル判定勝ち(88-83、88-84、87-84)アイニワエル・イリシアティ
スーパーウェルター級:ジャック・ジャベド 4回判定勝ち(40-36)ゼフィ・ヴァオトゥア