『The Ring』誌認定スーパーバンタム級王者の
井上尚弥は、5月のフェザー級転向を否定したうえで、次戦の相手として
中谷潤人との対戦を望んでいることを明かした。
122ポンド級の無敗統一王者である井上は、リヤドのモハメド・アブド・アリーナで開催された「The Ring V:Night of the Samurai」のメインイベントで、
無敗だったアラン・ピカソを相手に完勝を収め、判定で大差をつけて勝利した。
この一方的な勝利は、セミファイナルで神奈川出身の3階級制覇王者・中谷が、12ラウンドにわたる激戦の末、
セバスチャン・エルナンデス・レイエスを判定で下した直後の出来事であった。
こうして日本を代表する両雄がサウジアラビアの地でそれぞれの役目を果たした後、井上(32勝0敗、27KO)は、中谷(32勝0敗、24KO)との対戦に前向きであることを強調しており、5月3日の試合開催が計画されていると伝えられている。
井上は次のように語った。
「話はしていましたし、お互いに今夜勝ったわけなので、じゃあ戦おうじゃないか、という話になりました。
中谷選手と戦うことには非常に前向きです。むしろ自分からお願いしている立場です。少し話しただけなんですが、それが大きな話題になっただけです」
一方で、井上がフェザー級に転向すれば、5階級制覇という偉業に挑むチャンスが生まれることから、それが実現への障害になる可能性も指摘されていた。
しかし、中谷にとってエルナンデス戦は122ポンド級での初戦であったことを考えると、次戦ですぐにフェザー級で井上と対戦する可能性は低いと見られている。これについて井上は、その懸念を否定した。
「フェザー級に上げる可能性もありますが、それは5月ではありません。あくまで将来的な選択肢です」
ピカソ戦直後、32歳の“モンスター”は自身のパフォーマンスに満足していなかったことも明かしている。9月に
ムロジョン・アフマダリエフを判定で下して以降、このピカソ戦までの12ラウンドを戦い抜いたことで、井上は13年のプロキャリアで初めて、2試合連続でフルラウンドを戦うこととなった。
1人のジャッジが120-108のフルマークをつけ、他の2人も119-109、117-111と大差のスコアをつけたにもかかわらず、井上自身はこの勝利に納得していなかった。
「正直、あまり満足はしていません。皆さんが期待しているのは分かっていたので、倒したかった」と井上は試合後の記者会見で語った。
「ピカソはディフェンスが非常にうまく、ストップに持ち込むことができませんでした。これがボクシングです。タイミングが完璧な時もあれば、そうでない時もある。倒せる時もあれば、倒せない時もある。将来また同じことが起こるかもしれませんし、それが今後の大きな課題になります。
自分がやりたいボクシングと、自分の気持ちや感情との間に大きなズレがありました。今後に向けて、そこは考え直す必要があります」