【ロサンゼルス】“モンスター”こと井上尚弥が水曜日、ロサンゼルスのウエストサイド・ボクシング・クラブに登場。映画『ゴジラ』や『キングコング』などで名高いハリウッドの撮影スタジオからほど近い地でその姿を見せた。
身長165センチ、122ポンドの4団体統一王者・井上尚弥は、“モンスター”という異名が示すような巨体ではない。しかし、4階級を制したこの日本人王者は、ボクシング界のみならず、文化的にも象徴的な存在である。
日本から到着したばかりの井上尚弥(パウンド・フォー・パウンドで「Ring」ランキング2位)は、ロサンゼルス国際空港のタラップを降りると、すぐにミッドシティでのメディアデーに直行。5月4日にラモン・カルデナスと対戦する自身4度目のアメリカでの試合に向け、その注目の凱旋をアピールした。
井上尚弥(29勝無敗, 26KO)は、試合同様に素早く登場して去っていった。バンテージを巻き、シャドーボクシングを披露し、ミット打ちやサンドバッグで的確なパワーとキレを見せた。その後、アメリカと日本のメディアの取材に個別で応じ、無名に近いラモン・カルデナス(26勝1敗, 14KO)とフェイスオフを行い、最後は裏口から会場を後にした。
メディア対応はおよそ45分で終了。試合まで残り11日とあって、スケジュールはタイトだ。次の目的地はラスベガス。井上尚弥はシンコ・デ・マヨの週末、T-モバイル・アリーナで開催されるESPN放送のトップランク興行でメインイベントを務める予定だ。
井上尚弥は通訳を介して次のように語った。「多くのメディアに来ていただいて、とても嬉しく思っています。期待されているのは分かっています。ボクシングにとって伝説的な日に試合ができることを本当に楽しみにしていますし、自分がメインイベントを務めることにも満足しています。」
昨年は約4200万ドルを稼ぎ、ルイス・ネリ戦では東京ドームを5万5千人超で満員にし、「リヤド・シーズン」のアンバサダー契約も結ぶなど、その活躍ぶりはまさに破格。それでも井上尚弥の“モンスター級”の野望は尽きることなく、今後も対戦相手や舞台においてさらなる挑戦を見据えている。
「アメリカに戻ってくるまで4年かかりました。次はもっと早く戻ってきたいです」と井上尚弥は語った。「キャリアの仕上げとして、アメリカ市場を制して日本と同じようにここでもスーパースターになることは、私にとって非常に重要です。もっとアメリカで試合をしたいと思っています。」
32歳の井上尚弥は、今後の目標の中でも特に「ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでメインを務めること」が最優先だと語っている。
直近の10試合すべてをKOで飾っている井上尚弥だが、前戦のTJ・ドヘニー戦やキム・イェジュン戦では力の差が明らかだったこともあり、自身が“世界最強のボクサー”であることを再び証明する必要があると理解している。今回の対戦相手カルデナスも、井上尚弥にとって大きな脅威とは見られておらず、オッズで約-5000という圧倒的な支持を集める井上自身もそれを理解している。
「この試合で自分がパウンド・フォー・パウンドの世界1位に戻れるかは分かりません。でも、9月、12月、そして来年と試合の予定があり、ムロジョン・アフマダリエフ、ニック・ボール、中谷潤人との対戦を通じて1位に返り咲けることを願っています」と井上尚弥は語った。
「カルデナスは素晴らしいボクサーだ。オールラウンドに優れた選手だが、私にとっては簡単な試合だ。彼がどう出てきても、私は優位に立てると思う…この試合に対しては、ただ純粋な自信しかない」と井上尚弥は語った。
Manouk Akopyan 「リング・マガジン・マガジン」のリードライター。X/Instagram:@ManoukAkopyan でフォロー可能。