これはレイモンド・ムラタラが思い描いていた世界王者のなり方とは少し異なったが、今はこれで十分である。
スピード、パワー、運動能力がより完成されたムラタラは、IBFライト級暫定王座を懸けた土曜夜の試合で、執念を見せたロシアの挑戦者ザウル・アブドゥラエフを退けた。カリフォルニア州サンディエゴのペチャンガ・アリーナで行われたこの試合で、デニス・オコンネル(119-109)、デビッド・サザーランド(119-109)、スティーブ・ワイスフェルド(118-110)の3人のジャッジは、いずれもムラタラを支持し、ESPNのダブルヘッダーのセミファイナルで彼は12ラウンド戦を判定勝ちで制した。
ムラタラ(23勝無敗、17KO)はキャリア初の12ラウンドを戦い抜いたため、後半は手数が減ったものの、難なくアブドゥラエフ(20勝2敗、12KO)の9連勝を止めた。これによりムラタラは、元ライト級4団体統一王者
デビン・ヘイニー(32勝無敗、15KO、1無効試合)に続き、アブドゥラエフを破った唯一のボクサーの1人となった。
「最高の気分だ」とムラタラはリング上でESPNのマーク・クリーゲルに語った。「これまで積み重ねてきた努力、戦ってきた試合のすべてが報われたように感じる。ついにこのIBFのベルトを腰に巻くことができて本当にうれしい。…彼はタフなファイターだった。戦うために来た。それはわかっていた。だから自分のスキルを使って少しずつ崩していき、すべてのラウンドで打ち勝った。」
27歳のムラタラは、もし3階級制覇王者ワシル・ロマチェンコが現役続行を選べば、対戦の可能性が出てきた。IBFは、ウクライナ出身で37歳のロマチェンコに対し、10月8日までにムラタラとのライト級タイトル防衛戦を行うよう通達しており、それが果たされなければムラタラが暫定王者から正規王者へ昇格することになる。
ロマチェンコ(18勝3敗、12KO)が、リスクが高く見返りの少ないムラタラ戦を引き受けるかは不明である。2度の五輪金メダリストであるロマチェンコは、約1年前に
ジョージ・カンボソスを11回TKOで下して以降リングから遠ざかっており、もし復帰するならより注目度の高い対戦相手との高額報酬を狙う可能性もある。
ムラタラは第12ラウンドに入る時点で自分が優勢であると確信していたようで、残り3分間を慎重かつ効果的に戦い、アブドゥラエフを外側からコントロールしながら最終ゴングを迎えた。
9回、10回は強打があまり当たらなかったが、ムラタラは11回の立ち上がりで右アッパーカット、さらに右ストレートをクリーンヒットさせた。さらに残り20秒ほどのところで、ジャブを当ててアブドゥラエフの頭をのけ反らせる場面もあった。
ムラタラは第9ラウンド、アブドゥラエフのパンチの多くをうまくかわした。このラウンドではムラタラ自身のパンチもあまり命中しなかった。
第8ラウンドの大部分で、両者はジャブを中心に攻防を展開した。終盤にはムラタラが左アッパーカットをヒットさせ、その3分間で最もクリーンなパンチとなった。
第7ラウンド残り15秒を切ったところで、ムラタラの右がアブドゥラエフの顔面中央にヒット。アブドゥラエフはその一撃を受けても前進を止めず、接戦のラウンドが終了した。
第6ラウンド残り10秒を切ったところで、ムラタラの左・右のコンビネーションがヒットした。
第5ラウンドが始まって1分弱のところで、アブドゥラエフがついに右を当ててムラタラの注意を引いた。ムラタラはすぐに足元を整え、冷静さを取り戻した。
第4ラウンド残り1分40秒ほどの場面では、ムラタラが遠距離から右を当て、さらに強烈な左フックをボディに打ち込んだ。残り10秒強のところで、再び右でアブドゥラエフを後退させた。
第3ラウンド残り30秒あたりでは、両者が激しい打ち合いの中で右を打ち合った。
第2ラウンドは終始ムラタラが主導権を握り、彼のハンドスピードとパワーが際立った。残り1分を切った場面での左フックがアブドゥラエフの意識を引いた。
第1ラウンドは様子見の展開が続き、両者とも大きな手数は出ず、有効打も少なかった。
Keith Idec はザ・リング・マガジンの上級ライター兼コラムニスト。X(旧Twitter)では @idecboxing で連絡可能。