エルネスト“ティト”メルカドにとって、2025年はまったく違う展開になるはずだった。
この若きKOアーティストは、年内に3~4試合をこなし、スーパーライト級のタイトル挑戦にたどり着く計画だった。メルカド(17勝0敗、16KO)は、1月25日にラスベガスのコスモポリタンで元スーパーフェザー級&ライト級王者ホセ・ペドラサを4ラウンドTKOで仕留め、幸先よく一年を始めた。
しかしニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンのシアターで6月14日に予定していた次戦の1週間前、スパー中に右肩の腱板を痛めたことで計画は崩壊した。メルカドは肩のリハビリが必要となり、激しいボクシングトレーニングから4カ月離れることを余儀なくされた。そして、
ようやく土曜夜にアントニオ・モランを相手に復帰できる準備が整った。メキシコシティ出身のモラン(31勝7敗1分、21KO)は、4月5日にフィラデルフィアの2300アリーナで
マイクワン・ウィリアムズ(22勝1敗2分、11KO)をマジョリティ判定で破る番狂わせを演じている。10カ月半もの長くストレスの多い休養期間を経て、メルカドはモランに“また野心あるアメリカ人を食われる”展開は許さないと誓う。
「彼はいろんな強い相手と戦っている」とメルカドは『ザ・リング』に語る。「でも最終的には、俺が欲しいタイトル(WBOインターナショナル)を持っている。そのベルトを取れば各団体でランキングを上げられる。WBOは特に狙ってる団体のひとつだ。俺はテオフィモ(ロペス)を倒したい。この試合はそのための完璧なステップだ。彼は強い相手とやってきたし、自信満々で向かってくるはず。だって彼は22勝0敗の相手に勝ってるんだから。」
「だから、多分あいつも他の連中と同じように俺を見てるんだろうな。『アイツはただのガキだ。17勝0敗だけど誰とも戦ってない』って。みんなそう言うよな。でも実際に何発か強打を食らったら考え方が変わる。俺としてはKO連続記録を絶対に続けたい。年初と同じようにKOで締めたいんだ。しかも序盤で仕留められると思ってる。」
デビン・ヘイニーは2019年5月、3階級制覇を果たしたライト級時代にモランを激しくKOしている。モランはその後、
ペドラサ、
アーノルド・バルボサ Jr.、
ジャーメイン・オルティスにも判定負けし、
アンディ・クルスにもKOされている。それでも8カ月前にウィリアムズを僅差で下した。
メルカドとしては、とにかく2026年に向けて勢いをつけたい。今年があまりに実り少ない年だったからだ。
「今年は本当にイライラする一年だった」とメルカドは言う。「同じ階級の選手たちが、派手なことをやってるわけじゃないにしろ、試合をこなしているのを見ると特にね。自分だけ動けていないのはやっぱりつらい。でも復帰戦でド派手に戻ってきたい。今年はキャリアで最も試合数が少ない一年になった。普段は年間4~5試合はやるから、サイドラインでただ待ってるだけってのは本当にきつかった。」
DAZNは、カリフォルニア州ストックトンのアドベンティスト・ヘルス・アリーナで行われる
ディエゴ・パチェコ対ケビン・ルレ・サジョ戦のアンダーカードとして、このメルカド対モランの10回戦を中継する。プレリミは米東部時間午後5時(太平洋時間午後2時)に開始し、メインカードは午後8時(太平洋時間午後5時)スタート予定となっている。
ザ・リングのシニアライターでコラムニストであるKeith Idec(X: @idecboxing)まで連絡可能。