土曜夜に行われたルイス・クロッカーとパディ・ドノバンのIBFウェルター級王座挑戦者決定戦は、劇的かつ物議を醸す結果となり、その余波が完全に収まるまでには時間がかかるだろう。しかし、両陣営はすでに次の展開を模索し始めている。
ドノバン(14勝1敗、11KO)は、この激しくフィジカルなオール・アイリッシュ対決を主導し、試合が第8ラウンドに突入した時点で、3人のジャッジ全員のスコアカードで大差のリードを奪っていた。そして、そのラウンドが結果的に最終回となった。
まず、ドノバンは頭の使いすぎによって、この試合で2度目の減点を受けた。その後、傷だらけのクロッカー(21勝0敗、11KO)をダウンさせ、ベルが鳴る頃にはベルファスト出身のクロッカーを追い詰め、グラつかせていた。
ベルファストのSSEアリーナが騒然とする中、ドノバンは最後に違反となる一撃を放ち、クロッカーは崩れ落ちた。すでにリムリック出身のドノバンに2ポイントの減点を与えていたレフェリーのマーカス・マクドネルは、ドノバンを失格とし、クロッカーの勝利を宣言した。
試合直後、ドノバンの共同マネージャーであるキース・サリバンは、IBF会長のダリル・ピープルズに連絡を取り、失格判定への異議申し立てを行ったことを明らかにした。そして、「パディとルイス・クロッカーの再戦が行われるまで、指名挑戦者決定戦の結果を保留するよう求めた」と述べた。
クロッカーのトレーナーであるビリー・ネルソンは、再戦を求める声が広がっているにもかかわらず、クロッカーが指名挑戦者としての地位を危険にさらすことはないと断言した。そして、彼は再戦ではなく、ジャロン・エニスの持つIBFウェルター級王座へのタイトル挑戦に直進すると明言した。
ネルソンは、ドノバン陣営の異議申し立ては認められないと考えており、マクドネルによるドノバンの失格裁定は正当な判断だったと確信している。
クロッカーは間違いなく次戦で世界タイトルに挑戦する」とネルソンは『The Ring』のルイス・ハートとのインタビューで語った。
「異議申し立てにおいて最も重要なのは、IBFがBBBofC(英国ボクシング管理委員会)に試合の見解を求めることだ。しかし、彼らはレフェリーの判断を支持するはずだ。なぜなら、レフェリーの裁定は100%正しかったからだ。異議申し立てが覆る可能性は、どんな形であれ全くないと思う。だから、ルイスは年内に世界タイトルを懸けた試合を戦うことになるだろう」とネルソンは語った。
「ドノバンとの再戦は、将来的にはあり得るかもしれないが、昨夜の試合は納得のいかない形とはいえ、我々の勝利だった。だからこそ、次は世界タイトル戦へ進む。指名挑戦者の地位を得て、世界タイトルを狙える状況になっているのに、再戦なんてすると思うか?そんなことをする選手はいないよ。もしいるなら教えてくれ、そいつを嘘つきと呼んでやるさ。」
ドノバン陣営が異議申し立ての結果を不安な気持ちで待つ中、ネルソンとクロッカーは、IBF王座戦で誰と対戦することになるのかを静観することができる。
4月12日、ジャロン・エニスはアトランティックシティの名門ボードウォーク・ホールで、WBA王者であり『The Ring』誌のウェルター級ランキング2位のエイマンタス・スタニオニス(15勝0敗、9KO)と対戦する。
ネルソンは、『The Ring』誌のウェルター級ランキング1位に位置するエニスが、かねてからの目標である147ポンド級の統一を達成すれば、王座を返上し、ウェルター級のトップの座を明け渡すと考えている。そうなれば、クロッカーは空位となったIBF王座を懸けたタイトル戦に挑むチャンスを得ることになる。
「もしスタニオニスが勝てば、彼と戦う可能性が高いと思う」とネルソンは語った。「もしブーツ(エニス)が勝てば、彼はほぼ間違いなく154ポンドに階級を上げるだろう。理由は単純で、彼はこの階級では大きすぎるし、減量に苦しんでいるはずだ。それに、154ポンドには彼にとってより大きな試合が待っているからね。」
IBF王座が空位となり、さらに再戦が誇りを懸けた戦いとなる可能性について、ネルソンはIBFのルールブックに言及した。
「IBFのルールに立ち戻らなければならない」とネルソンは語った。「敗戦直後の選手は世界タイトルを争うことはできないんだ。」