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最後のチャンスの酒場:ミッチェル・スミスが10年にわたる混乱に終止符を打ちたい理由
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Declan Taylor
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最後のチャンスの酒場:ミッチェル・スミスが10年にわたる混乱に終止符を打ちたい理由
ロンドン(イングランド) — ミッチェル・スミスがジョージ・ジャップと対峙したのは、今からほぼ10年前のことだ。

当時、南部エリア王者だったジャップは、ハードパンチを誇るスミスの出世街道の通過点に過ぎないと多くの人が思っていた。

2015年9月に時計の針を戻して、イギリスのボクシングファンに「国内で最も将来有望な若手選手は誰か」と尋ねれば、スミスの名前がリストに必ず入っていたと言っても過言ではない。

その年の7月にデニス・トゥビエロンをノックアウトして13勝0敗(7KO)となったスミス。当時24歳だった彼にとって、まさに青天井の可能性が広がっていた。ボクシング・ライターズ・クラブからは「ヤング・ボクサー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれ、ランドルフ・ターピン、ナジーム・ハメド、リッキー・ハットン、アミール・カーンといった著名な過去の受賞者と並ぶ名誉を手にした。

当時の投票者も、ましてやスーパーフェザー級のスミス本人も、その後の10年がどう展開するかなど予想できなかったに違いない。

2015年12月、アンディ・リーのミドル級タイトル防衛戦(対ビリー・ジョー・サンダース)をメインとするフランク・ウォーレン主催の『クリスマス・クラッカー』興行の一環として、スミスはジョージ・ジャップとの対戦が予定されていた。その年すでに3勝を挙げていたスミスにとって、この試合は印象的な12ヶ月を締めくくる絶好のチャンスであり、2016年に世界タイトル挑戦へと駒を進めるための足がかりとなるはずだった。




しかし、ジャップはその台本通りには動かなかった。準備不足で減量にも苦しんだスミスを、10ラウンド判定で明確に下したのだ。敗れたスミスは10ヶ月間リングに戻れず、そこからすべてが急激に崩れていった。

「この10年は…」と言いかけて言葉を探すスミス。「本当にクレイジーだったよ。

たくさんのことを学んだし、本当に酷い、酷い時期もあった。それはボクシングの外の話だ。俺は3度も服役したし、ある時なんて体重が110キロにまで増えていた。デブのおっさんだったよ。

でもある日、『もうやめようぜ』って思ったんだ。当然ながら、俺は悪いサイクルに入っていたし、生活習慣もメンタルも最悪だった。そんな状態になるってことは、何かしら心の病みを抱えているってことだよ。

今の俺に戻るまでにやってきたことと言えば…58キロ痩せて、3度の服役から立ち直った。酒とドラッグとも闘ったし、子どもたちも失った。どん底だったんだ」

ジャップ戦後の18ヶ月間で2試合を行った後、スミスは5年と1日という長いボクシング空白期間に入った。2022年5月21日、ウォットフォードのウッドサイド・レジャー・センターにて、3勝19敗のペター・アレクサンドロフに勝利し復帰。体重は149.5ポンドだった。




そこからさらに17ヶ月リングを離れ、次に挑んだのはライアン・フロスト戦。力量差のある相手を4ラウンド判定で下し、その4ヶ月後、139.5ポンドでニカラグアのベテラン、クリスティアン・ナルバエスを6ラウンド判定で破った。

しかし、2015年のジャップ戦以来、本格的な試練に晒されていないスミスは、今こそ「本物の試合」が欲しいと切望している。その思いは言葉の節々に滲み出ている。9月27日にヨークホールでの試合を予定しているが、現時点で対戦相手は未定である。

今では140ポンド前後で戦うことを受け入れているスミス。当初は12勝1敗のメイス・ルーグとの対戦が組まれていたが、相手が上腕二頭筋の負傷でキャンセル。その後、『ザ・リング・マガジン』が報じたところによると、ジョーダン・フリンにもオファーが出されたが、彼も辞退した。

「この前、ボクシング界の有名な人物からメッセージが来たんだ」とスミスは語る。「お前の問題は、強すぎることだって。核心を突いていると思う。俺はこいつらにとって脅威すぎるんだよ」

「仮にお前のボクサーが24、25、26歳だったら、俺みたいな相手とは戦わせないだろ? 俺は相手の頭をぶっ飛ばしに行くつもりで来てるんだから。もう長くはリングに立ってないけど、あの頃の俺を覚えてる人はまだいる。

かつて110キロだった俺が、今ではここまで戻ってきてる。チャンスをくれって言ってるだけなんだ。本物の殴り合いを見せてやるから、誰でもいいから試させてくれよ」




「今の俺にとって、もう失うものなんてない。いろんな相手に挑んできた。でも、誰かを倒せば、それが誰かの目に留まるかもしれない。そこから何が起こるかなんて分からないだろ?」

スミスは、ルートンの金属リサイクル工場で働きながら、『ザ・リング・マガジン』のインタビューに応じている。長時間労働で生活費を稼ぎながら、空いた時間でボクシングキャリアの火を絶やさないよう努力を続けている。

ジョセフ・パーカー対ファビオ・ワードリー戦がメインとなる10月25日の興行で、アーチー・シャープとの試合も検討されたが、実現には至らなかった。ただ、9月27日の結果次第では、12月にシャープとの対戦が組まれる可能性もある。

スミスにとって10月25日は、またもや実現しなかった好機の一つであり、彼は崖っぷちに立たされた心境だ。今後も努力を続けるのか、それともすべてを諦めるのか。そのどちらかである。

「ボクシングで成し遂げたかったことは、全部実現しなかった」と彼は語る。「今の場所に戻ってくるまでに、どれだけ苦労したか。『血と汗と涙』ってよく言うけど、俺の場合は本当にスパーリング中に鼻を2回も折ったくらいだよ」

「しんどい日もある。ジムに行きたくなくて、ただ疲れてる日。でも子どもたちの顔を見ると、俺は彼らにちゃんとやるって約束したんだって思い出す。そのチャンスがまだ来てないだけで、俺はまだ諦めてない」




「たとえ最後のチャンスが訪れて、それで負けても、それが運命なら仕方ない。俺は全力を尽くすつもりだし、ボクシングファンに自分がまだ何か持っていることを証明したい。まだ闘志は失っていない」

最後に、34歳のスミスにこの10年をどう総括するか尋ねると、彼は半ば冗談交じりにこう答えた。「よくもまあ、こんな悲惨な形で終わらせようとするなよ」

「全体的に言うと、自分自身を理解するのに苦しんだ10年だったと思う。何も持たない典型的な団地育ちの子どもが、すべてを手にしかけて、それを自ら台無しにした。その後悔を背負って生きていかなきゃならないのは、結局自分しかいない」

「誰にでも心の闇はあるけど、それはたぶん俺と一生ついて回るだろう。だからこそ、もう一度チャンスが欲しいと思ってるんだ。もし、もう機会が与えられずにキャリアを終えなきゃならないとしたら、それは明らかに自分の責任だ」

「たとえ国内レベルの誰かに負けたとしても、『俺は戻ってきたし、最後に全力を尽くした。それがちょっと遅すぎただけ』って言えたなら、それでいいと思えるかもしれない。自分自身にそうする責任がある気がしてるんだ」

「もしかしたら、それで納得できるかもしれないな」


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