ラニ・ダニエルズの初めてのアメリカ訪問は波乱に満ちたものだった。
ニュージーランドからテキサス州ヒューストンまでの14時間のフライトを終えた
ラニ・ダニエルズを待っていたのは、3時間の待機の末にミシガン州デトロイト行きの乗り継ぎ便がキャンセルされるという事態だった。ヒューストンからサンアントニオまではおよそ3時間かけてUberで移動し、さらに長い待ち時間を経て、ようやくダニエルズは月曜日に行われる会見のため、4団体統一
ヘビー級王者クレアッサ・シールズとの対戦に向けてデトロイトへ向かうことができた。
「本当にうれしいです」とダニエルズは『
ザ・リング』誌に語った。「アメリカンドリームを生きているような気分です。アメリカに来るのは初めてなので、すべてが詰まった体験です。自分の好きなことをしながら世界のほかの場所を見られるなんて」
「まさに冒険でした」とダニエルズは付け加えた。「ワクワクする気持ちが私たちを支えてくれました」
その興奮の源は、彼女にとって人生最大のチャンスと言える試合が控えているからだ。IBFライトヘビー級王者であり、かつてはIBFヘビー級王座も保持していたラニ・ダニエルズ(11勝2敗2分、1KO)は、再びヘビー級に戻り、7月26日にミシガン州デトロイトのリトル・シーザーズ・アリーナで、無敗の4団体統一ヘビー級王者クレアッサ・シールズ(16勝0敗、3KO)に挑む。
「この挑戦には本当に多くの意味があるんです」とダニエルズは語る。「ニュージーランドのような小さな国からでも、夢は叶うってことを示したい。クレアッサ自身も言っているけど、“あなたが誰であろうと、どこから来ようと、努力すれば何だって達成できる”って。それを体現したい。私はここに来るべくして来たんです。選ばれた理由がちゃんとあるんです」
「ちゃんと努力してきたし、ここにいる資格がある。こんな大舞台に立てることが本当に楽しみだし、女子ボクシングに光を当ててくれたクレアッサには感謝しています。自分の持つスキルを世界に見せるチャンスにワクワクしています」
現在、ダニエルズは7連勝中。2023年12月2日にはデズリー・ロビンソンに判定勝ちし、空位だったIBFライトヘビー級王座を獲得して2階級制覇を達成。初防衛戦では2024年9月7日にボラティト・オルウォレを判定で下している。しかし、IBFの規定により1人の選手が複数階級にランクインできないため、ヘビー級王座は返上することとなった。
「自分を信じる気持ち、それが私の成功の鍵でした」とダニエルズは語る。「信じたことは、必ず達成できるんです」
シールズ戦は、ダニエルズにとってニュージーランド国外での初試合となる。彼女はこの試合に向けて、ドミトリー・サリタのサリタ・プロモーションズと契約を交わした。
「ダニエルズは本当に覚悟を持っている」とサリタは『ザ・リング』に語った。「彼女は勇敢で、スキルがあるし、王者だった経験もある。失うものは何もなく、すべてを得るチャンスを手にしている」
シールズは3階級で無敗の4団体統一王者となっただけでなく、オリンピック金メダルを2度獲得している。ダニエルズは、そんな相手に番狂わせを起こすために何が必要かを理解している。
「当日は自分史上最高の自分にならなきゃいけない」とダニエルズは語る。「集中力を切らさず、あらゆる瞬間を活かしてベストな自分を出し切る。それが私にできるすべてです」