戦いを見るということには、不快な現実が伴う。美しさはしばしば醜さの先にあり、あるいはそれが前提条件となることさえある。本質的に、ボクシングとはお互いに危害を加えることに合意するスポーツだ。しかし、その危害を与えるために必要な身体的・精神的要素が、この競技に優雅さをもたらすのだ。
とはいえ、ボクシングが社会とは切り離された存在であると考えたくても、このスポーツは人間たちによって成り立っており、そこには欠点がある。そして、その欠点が時としてこの競技の独特な美しさを汚してしまうこともある。
先週金曜日、キーショーン・デービスがデニス・ベリンチクとのWBOライト級タイトルマッチに挑むにあたり、不快感が漂っていた。試合週の間に、デービスは人種差別的な事件の被害者となった。彼の部屋の前にバナナとスイカの入った箱が置かれ、手書きのメッセージが添えられていたのだ。
試合を放送したESPNは、この事件を放送の中心的なナラティブとして扱った。オンラインでは、誰が犯人なのかを巡る憶測が飛び交った。ESPNのコメンテーターでライターのマーク・クリーゲルは番組内で、デービスのチームがホテルの監視カメラ映像を確認し、「見覚えのある人物だった」と話したと報じた。ベリンチクとそのチームは事件への関与を否定したが、視聴者は「デービスが今から戦う相手は、少なくとも人種差別的な襲撃者とつながりのある人物かもしれない」という認識で試合を見守ることになった。
この醜い現実を前に、デービスは見事な作品を作り上げることを選んだ。試合週には毅然とした態度で事件を非難し、ツイッターでは「金曜日はブラック・ヒストリー・マンス。俺はこの試合を文化のために戦う」と投稿した。しかし、試合前インタビューではこの話題には触れず、冷静に臨んだ。
試合2日前の記者会見では、黒のジャケットにタートルネック、角ばったフレームの眼鏡、そして手袋を着用して登場。彼の愛称である「ビジネスマン」を体現するかのような姿だったが、同時に暗殺者のような雰囲気を漂わせ、ベリンチクの首元に指を向けて威嚇した。
しかし試合当日、彼は黒から白へと変貌を遂げた。
オールホワイトの装いで登場し、耳まで届く笑顔を見せながら、ゴスペルミュージックのリズムに合わせてリングへと向かった。
「俺はこの舞台に立つ前から試練と苦難を乗り越えてきた。だからこそ、この舞台に立った今、自分のやるべきことをやるだけだ。俺はいつも言っている。リングの中で何が起ころうと、それはただのビジネスだ。俺はビジネスを全うする。」
試合後の記者会見で、デービスはそう語った。
「結局のところ、俺は戦う男だ。プレスカンファレンスでも言っただろう? 俺は本当に戦うんだ。グローブをはめるのは何でもないことさ。リングの中こそが、俺の“幸せな場所”なんだよ。」
試合前、デービスは「1ラウンドKOを狙う」と宣言していた。
ただし、それはもっと広義な意味での「早いラウンドでのKOという含みを持たせたものだった。
デービスの唯一の障害は、彼を支える知恵あるチームだったかもしれない。
彼がわずか8勝0敗だった1年半前、デービスはこう語っていた。
「俺より先を行っているつもりの選手たちが、俺のことを見下して色々言う。
『まだこのレベルだ』『もっと経験が必要だ』『もっと時間をかけろ』とさ。でも、現実を言えば、俺はもう既にトップにいるんだ。
いざ戦う時が来たら、そいつらは全員自分の言葉を飲み込むことになるよ。」
この試合は、その言葉の証明の場となった。
デービスは開始直後から攻勢に出た。
第2ラウンドが半ばに差し掛かる頃には、ベリンチクの鼻から激しく出血していた。
コーナーに戻るデービスの目は、まるで獲物を仕留める前のハンターのように鋭く輝いていた。
マッキンタイアは「右ボディを混ぜろ」と指示し、リングサイドにいた親友でメンターのテレンス・クロフォードもボディ攻撃を促した。
次のラウンド、デービスは左ボディフックでダウンを奪う。
ベリンチクはなんとかラウンド終了まで耐えたが、ダメージは明らかだった。
コーナーでは、デービスがニヤリと笑いながら一言。
「こいつ、何も持ってねぇな。」
翻訳:
「よし、仕留めるぞ。」
マッキンタイアは言った。
「OK、行け。ただしジャブを使いながらな。」
翻訳:
「よし、やってこい。ただし、一応コーチとして慎重になれとは言っとく。」
90秒後、デービスは完璧なコンビネーションを決めた。
右ボディからの左フックで、ベリンチクは折れ曲がるように崩れ落ちた。
デービスはコーナーで腕を振り上げ、
まるで「これは俺のものだ」と世界タイトルを先取りするかのように勝利を確信していた。
「第2ラウンドで鼻血が出た時点で、俺は『もう終わりだな』と思った」
とデービスは振り返った。
「そこから2ラウンド後に、実際に終わらせたってわけさ。」
デービスがコーナーで歓喜のダンスを踊り、拳を突き上げながら飛び跳ねる姿を見れば、彼がまさに「幸せな場所」にいることは疑いようがなかった。
この試合を「直接的な報復」と感じた人もいれば、単に「試合とは無関係な醜悪な事件を乗り越えて戦ったファイター」として見た人もいたかもしれない。
しかし、どのような視点で見ても、デービスが人類の最も醜い表情に立ち向かいながら、堂々と、そして美しく戦ったことは明白だった。
彼は、自らの「幸せな場所」を汚されることを決して許さない男だった。
そしてその戦いを通じて、彼はオリンピックからの旅路の中で自ら予言していた通りの非凡なファイターであることを証明したのだった。
「俺は、人生で本当に多くのことを経験してきたファイターだ。一度は自分を見失ったが、また自分を見つけ出した。」とデービスは語った。
「リングに上がって、ただ奴をぶちのめしただけさ。」