本日行われた記者会見にて、井岡一翔はWBA世界スーパーフライ級王者フェルナンド・マルティネスとの再戦が、5月11日に東京・大田区総合体育館で行われることを発表した。
両者は昨年7月に対戦しており、その際は井岡がWBA王座を、マルティネスがIBF王座を保持していた。両者の試合は接戦となり、見応えある戦いの末、アルゼンチン出身のマルティネスが12ラウンドの判定勝ちで勝利を収めた。
再戦は昨年12月31日に予定されていたが、マルティネスの体調不良により土壇場で中止となった。再戦を実現するために、マルティネスは指名挑戦者との対戦義務のためにIBF王座を返上する必要があった。
一時は、マルティネスがThe Ring 誌およびWBC王者のジェシー・ロドリゲスとの対戦に向けて動くという話もあり、両者が別々の道を歩むかに思われた。しかし最終的には、井岡とマルティネスが交渉をまとめ、再戦が実現した。
「マルティネスとの再戦については、自分の責任だと感じている」と井岡は『ザ・リング・マガジン』に語った。「7月7日に敗れてから、大晦日の試合も延期され、ようやく5月11日に決定した。リベンジに対する覚悟はさらに強くなった。
この再戦に勝利し、さらに前に進む決意である。」
セミファイナルでは、注目のスーパーフェザー級ホープ、堤駿斗(6勝0敗、3KO)が対戦相手未定ながら登場予定。また、期待のフライ級吉良大弥(2勝0敗、2KO)や、アマチュアで実績を残した堤麗斗のプロデビュー戦も予定されている。
マルティネス(17勝0敗、9KO)は、The Ring誌でスーパーフライ級1位にランクされており、アマチュアとして世界各地でアルゼンチン代表として活躍した経験を持つ。ワールドシリーズ・オブ・ボクシングや2016年のオリンピックにも出場しており、2017年にプロデビュー。初戦から9試合はすべてアルゼンチンで行い、その後南アフリカでアテンコシ・ドゥメズウェニを11回TKOで下した。
33歳の彼は、それまでほとんど無名だったが、ジェルウィン・アンカハスに12回判定勝ちでIBF王座を奪取したことで一躍名を挙げ、初防衛戦でも同様の結果を残し、さらにフィリピンのジェイド・ボルネアを11回TKOで下した。その後、WBA王者の井岡一翔と統一戦を行い、日本で判定勝ちで勝利した。
井岡一翔(31勝3敗1分、16KO)は、The Ring誌スーパーフライ級で第3位にランクされており、ミニマム級とライトフライ級で世界王座を獲得している。初黒星は、IBFフライ級王者アムナット・ルエンロエンに判定負けで敗れたものである。動じることなく、フアン・カルロス・レベコをマジョリティ・デシジョンで下し、同階級のWBA王座を獲得。レベコとの再戦(11回TKO)を含む5度の防衛を果たしたのち、2017年に電撃引退した。
しかし17か月のブランクを経て、スーパーフライ級での新たな栄光を目指して復帰。ドニー・ニエテスとのWBOタイトルマッチではスプリット・デシジョンで敗れたものの、ニエテスの王座返上後、アストン・パリクテを10回TKOで下して同王座を獲得。4階級制覇を達成し、6度の防衛を果たした。中でも田中恒成を8回TKOで下した試合や、ニエテスとの再戦での判定勝ちは特筆に値する。WBA王者ジョシュア・フランコとの統一戦では引き分けに終わったが、強豪マンド挑戦者との対戦を回避し、フランコとの再戦を選んで判定勝ちで勝利を収めた。その後、ファン・フランシスコ・エストラーダとの統一戦を模索したが実現せず、通常の防衛戦を行った末に、勢いあるマルティネスに王座を奪われた(12回UD)。
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