ロンドン(イングランド)----エディ・ハーンは、もし前代未聞の“引退試合”をダブリンのクローク・パークで実現できなければ、
ケイティ・テイラーはすでに最後の試合を終えているかもしれないと認めた。
現在39歳のテイラーは、アマチュア時代に世界選手権5度優勝、オリンピック金メダルを獲得し、プロでは2階級で4団体統一を達成した、史上最も偉大なファイターの一人とされている。
最近では、7月11日、満員の
マディソン・スクエア・ガーデンでアマンダ・セラノを下し、キャリア最高のパフォーマンスのひとつを披露。女子ボクシングにとって再び歴史的な夜となった。この勝利により、プエルトリコの複数階級王者セラノに対しての戦績は3戦3勝となった。
テイラーの戦績は、同時代のトップ選手たちの名がずらりと並ぶ“殿堂”のような内容となっている。そして、プロキャリアを通じて彼女をプロモートしてきたエディ・ハーンは、もはや挑戦者として成立する相手がほとんど残っていないと語る。実際、マッチルームの代表である彼は、ブレイの英雄であるテイラーがこのまま引退する可能性も十分にあると示唆している。ただし、彼女にとってまだ“達成されていない目標”が一つだけ残されているという。
キャリアを通じて、アイルランド最大のスタジアムであるクローク・パークでの屋外試合という構想は何度も浮上してきたが、これまで一度も実現には至っていない。テイラーはこれまでにダブリンで2度試合を行っているが、いずれも3アリーナでの開催であり、屋外での試合はまだ経験していない。
そして今、ハーンは約6万人の観客を前にクローク・パークでの試合を実現させることこそが、テイラーにとって理想的な“引退の花道”になると語っている。
「セラノ戦のあと、ケイティが『次に試合をするとしたら』って言ったんだ。“いつ試合するか”じゃなくて“もし試合をするなら”って言ったのは、あれが初めてだったよ」とハーンは「
ザ・リング・マガジン」に語った。
「正しいタイミングで引退することって、本当に大切だと思うんだ。あの最後の試合こそが、彼女にとって最高の“引き際”になるんじゃないかと考えてる」
「でも、実際いくつかの話し合いも進んでいて、アイルランドのスポーツ大臣が“ケイティ・テイラーのクローク・パーク開催を後押しすべきだ”って発言したのも見ただろう。彼女を再びリングに戻す可能性があるとすれば、今のところそれだけかもしれないよ」
「マディソン・スクエア・ガーデンを満員にして、Netflixで大勢の視聴者に見守られながら三部作を制するっていうのも、素晴らしい引退の形だよ。でも、クローク・パークで最後の試合をするというのも同じくらい意義深い。彼女がもう一度リングに上がるとすれば、それが唯一の道かもしれないね」
そのような大舞台にふさわしい対戦相手について尋ねられると、ハーンは「簡単に答えられる質問ではない」と認めた。
「
チャンテル・キャメロンとの試合は素晴らしいものになるだろうけど、彼女にはその規模に見合う知名度があるとは言えない」と彼は語った。「セラノとの第4戦は現実的ではないけど、他にもいくつか選択肢はある」
「たとえば
キャロライン・デュボアかもしれない。失礼なことを言うつもりはないけど、どちらもその舞台にふさわしい“プロフィール”があるとは言えない。クローク・パークでの一戦という意味では、あくまで主役はケイティ・テイラーなんだ。でも同時に、キャロライン・デュボア、チャンテル・キャメロン、テリー・ハーパーもみんな同じ立場にいると言えるね」
「まだ対戦相手についてはまったく検討していないし、彼女がもう試合をしない可能性もある。ただ、しっかり休養を取らせて、年末にどうなるか様子を見ていくつもりだ」
「相手が誰であれ、彼女の知名度があれば、あの会場を満員にできる可能性は十分あると思ってる。その舞台は本当に特別なものになるだろうね」