オーランド──2年以上も表舞台から姿を消していれば、どんな存在でも簡単に忘れられてしまうものだ。
しかし、
ジョーダン・トンプソンは25か月ぶりの復帰戦で、ボクシング界に自分が何者であるかを改めて証明するつもりである。
今週土曜日、トンプソンはフロリダ州オーランドのカリブ・ロイヤルで開催されるマッチルーム・ボクシング興行(
DAZN配信)のメインイベントに登場し、
無敗のキューバ人ヘビー級レニエル・ペロと対戦してヘビー級デビューを飾る。リングに戻るまでの道のりは険しかったが、トンプソンはかつてないほど心身ともに充実しているという。
「“ワクワクしている”なんて言葉では足りない」とトンプソンは
『ザ・リング・マガジン』に語った。「何よりも感謝の気持ちでいっぱいだ。2年間という長いブランクを経て、ようやくリングに戻れることが本当にありがたい。感謝というのは強力な原動力になる。最高の試合を見せるつもりだ。」
さらにこう続けた。
「今まで以上に自信がある。この時間は“隠れた祝福”だったと思う。自分を見つめ直し、振り返る時間になった。ボクシングというスポーツは、容赦なく前に進み、選手をすぐに忘れてしまう。でもその間、ボクシングが俺のことを忘れかけていたとしても、俺は自分を思い出した。自分が誰なのかを。だからこそ、この土曜の夜は特別な夜になると思う。」
トンプソン(15勝1敗、12KO)は、2023年9月30日にリングに上がり、キャリア唯一の黒星を喫した。相手はIBFクルーザー級王者
ジャイ・オペタイアで、第4ラウンドTKO負け。オペタイア(28勝0敗、22KO)戦の前からヘビー級転向を検討していたが、世界タイトル挑戦の機会は逃せなかった。身長198センチの彼にとって、試合前に200ポンド(約90.7kg)まで減量し、さらにIBFの試合当日再計量で10ポンド制限を受けることは非常に過酷だった。
「ジャイ戦の前からヘビー級転向は話し合っていた」とトンプソンは語る。「あの時は本当に限界だった。全然いい感覚じゃなかった。だからチームと話して、『もう上の階級に行かなきゃダメだ』と決めたんだ。2023年初めにはすでにヘビー級での試合について話を進めていた。そんな時、世界タイトル挑戦の電話が来たんだ。『やるしかないだろ』ってね。世界タイトル挑戦なんてそう何度も巡ってくるものじゃない。俺ほどのパンチ力があれば、一発で流れを変えられる。
「力及ばずだった。そういうものだ。俺たちは前に進み続ける。そして今ようやく、俺は俺のままでいけるし、自分らしさを出せる。みんなにそれを見せられる。」
マンチェスター(ランカシャー、イギリス)出身のトンプソンは、ケガと手術によって復帰が先延ばしになっていた。回復後、32歳のトンプソンはヘビー級デビューの相手として戻り戦を組めそうな名前がいくつか挙がっていたという。
その後、
いきなり“深いところ”へ飛び込む好機が訪れた。相手はWBA世界ランキング3位のレニエル・ペロ(キューバ・カマグエイ/12勝0敗、8KO)。32歳のペロは、4月18日にデトレイラス・ウェブスターへ10回戦の判定(ユナニマス)勝ちを収めており、その前は5試合連続でストップ勝ち。通算8つのKOのうち5つは初回決着である。
リオ五輪(2016年)出場経験を持つペロとの試合は容易ではないが、トンプソンは勝てば見える新たな未来を前に迷いはなかった。
「提案された相手の中でも、この試合が一番難しかったと思う」とトンプソンは話す。「でも俺は計算してリスクを取るタイプだ。リスクなくしてリターンはない。試合のメリットとデメリットを天秤にかけた時、世界ランキング3位の座が懸かっている。迷う理由なんてない。俺はただ楽しむためにここにいるんじゃない。勝って前に進むためにここにいるんだ。」