才能に恵まれ、無敗を誇るクルーザー級プロスペクト、ジョン “ザ・ジェントルマン” ヘッジズは、今後、元世界2階級王者で国際ボクシング殿堂入りも果たしているリッキー・ハットンの指導を受けることになった。
エセックス出身のヘッジズ(10勝0敗、3KO)は、これまで指導を受けていたマーク・ティブスと袂を分かち、新たなトレーナーを探していた。5月17日に予定されているイングリッシュ王座挑戦者決定戦で、ナサン・クォーレス(13勝1敗)との一戦に向けて調整するためだけでなく、リバプール出身の難敵を攻略するための戦略を共に構築できる存在が必要だった。
ヘッジズ対クォーレスの一戦は、ジョニー・フィッシャー対デイブ・アレンのヘビー級再戦のアンダーカードとして、ロンドンのコッパーボックス・アリーナで行われ、DAZNで配信される。
22歳のヘッジズは、携帯電話の連絡先を長くスクロールする必要もなく、理想的な人物の名前をすぐに思い浮かべた。そして数日後には、イングランド北部のハイドにあるハットンのジムでトレーニングを開始していた。
「ほんとに偶然のような流れだった。でもみんな同じことを言ってくれたよ。何よりも、リッキーとは前から友達だったんだ」とヘッジズは『ザ・リング・マガジン』に語った。
「父と一緒に座って、試してみても良さそうな名前をいくつか挙げてみたんだ。でも、あまり変な選択はしたくなかった。それで俺はこう言ったんだ──『こういう時って、神様の思し召しというか、逆にありがたいチャンスだったりするんじゃないか』って。
それで、“この人を試してみるか”とか“あの人に頼んでみようか”なんて中途半端なことするより、『リッキーって素晴らしいトレーナーだし、人としても信頼できる。だったら彼に電話してみようよ』って思ったんだ。で、今こうしてここにいる。
もうあれこれ試してる時間なんてない。もしジムの雰囲気が合わなかったら、また移動しなきゃいけないわけだろ? でもそんな余裕はない。試合まであと6週間しかないんだから。
だからこそ、俺はすぐに“これは合うな”って感じた。あとは、ボクシングに対する見方が一致するかどうかだけだった。最初の2セッションでそれが分かった時点で、心は決まったよ。住む場所も探して、ようやく見つかって、こう言ったんだ──『よし、リック。このイングリッシュ挑戦者決定戦、一緒に勝ちに行こう』ってさ。」
ハットンは、ヘッジズにとってマンチェスターでの新生活を“甘く”始めさせるつもりはなかった。
現役時代、ハットンのトレーナーだったビリー・グラハムは、過酷な世界戦レベルのトレーニングにおいて、身体と精神をリフレッシュさせるために「ハードな日とイージーな日を交互に組み込むことの重要性」を説いていた。
とはいえ、ハットンとヘッジズが一緒に過ごせる時間は限られており、そのうえいきなり重要な試合に向けて動き出さなければならない。ハットンとしては、即座にスイッチを入れていくことはもちろん、新たな教え子をどこまで追い込めるのか、そしてヘッジズがどれほど本気でこの新体制に飛び込んでくるのかを見極めようとしているはずだ。
「ってことは、明日休みになるかもしれないってことを期待してもいいかな?」とヘッジズは笑いながら語った。
「正直言って、めちゃくちゃ追い込んでるよ。失った時間を取り戻すというよりは、最初の段階から必要なレベルにきっちり仕上げるためにやってる感じだね。」
「間違いなく、俺に“折れる心”があるかどうかを試そうとしてるんだと思う。でもリッキーにはこう言ったんだ――『俺は一日中でもこのジムにいるよ、仲間。俺には“諦め”なんてない』って。
今では、彼もそれを理解してくれてると思う。ある意味で、自分の覚悟は証明できたかな。」